改訂新版 世界大百科事典 「ペルシア暦」の意味・わかりやすい解説
ペルシア暦 (ペルシアれき)
イランで用いられている太陽暦。イラン暦とも呼ばれる。現在イランでは,イスラム世界全域で用いられているイスラム太陽暦(ヒジュラ暦)のほかに,イスラム太陽暦が併用されている。この暦は,紀元元年はヒジュラ暦と同じ622年であるが,春分の日を元日(ノウルーズNourūz)とするイラン古来の暦に基づく独自のものである。ペルシア暦の基礎は,《ルバーイヤート》の作者で,同時に天文学者・数学者のウマル・ハイヤームによって定められた。彼の手になる暦は,時のセルジューク朝の君主マリク・シャーの称号ジャラール・アッダウラにちなんで,〈ジャラーリー暦〉と呼ばれる。歴史的には,古代イランには,アケメネス朝の宮廷暦と,ゾロアスター教の神格名を各月に冠した宗教暦の2種があった。現行のペルシア暦の月名は後者を受け継いでいる。ペルシア暦は,この地域の自然条件にかなったものであるため,イラン外のアフガニスタン,イラクなどにおいても使用されている。
執筆者:上岡 弘二
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