ペルディッカス(その他表記)Perdikkas

改訂新版 世界大百科事典 「ペルディッカス」の意味・わかりやすい解説

ペルディッカス
Perdikkas
生没年:?-前321

マケドニア将軍。マケドニアの西,オレスティスの有力家系の出身。アレクサンドロス大王に最も信頼された一人。大王東征に,最初は出身地歩兵軍団指揮官として活躍,大王の死の直前,帝国宰相位(キリアルキア)についた。王の死後その異母兄弟フィリッポス3世,王の子アレクサンドロス4世を擁し権力を握ったが,諸将対立エジプトプトレマイオス1世を討とうとしたが失敗し,暗殺された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルディッカス」の意味・わかりやすい解説

ペルディッカス
Perdikkas

[生]前365頃
[没]前321
アレクサンドロス3世 (大王)麾下の将軍の1人。マケドニア歩兵部隊を率いて大王の遠征軍に加わった。大王の死後,みずから全帝国の支配者になろうとするような動きをみせはじめたが,エジプトのプトレマイオス1世ソテルフリュギアアンチゴノス1世クラテロスヨーロッパに逃げたアンチパトロスらは同盟してこれをさえぎった。彼はまずプトレマイオスを押えようとエジプトにおもむいたが,部下に殺された。

ペルディッカス
Perdikkas

マケドニアの3人の王。ペルディッカス1世 (在位前7世紀後半) はマケドニア沿岸部を征服したとされる。ペルディッカス2世 (在位前 450頃~413) は巧みな外交術によって,全マケドニアをその影響下に治め,自国に対するアテネ支配の弱体化に努めた。ペルディッカス3世 (在位前 365~359) はフィリッポス2世の兄で,イリュリア人との戦争に敗れ,部下 4000人とともに殺害された。

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世界大百科事典(旧版)内のペルディッカスの言及

【マケドニア】より

… マケドニアがギリシア史に現れるのはペルシア戦争前後である。アミュンタス1世Amyntas I(在位,?‐前495ころ)はペルシア帝国に服属していたが,その子アレクサンドロス1世Alexandros I(在位,前495ころ‐前450か440)は,ペルシアの敗退後ギリシア人と巧妙な交渉を行い,その子ペルディッカス2世Perdikkas II(在位,前450か440‐前413)は,ペロポネソス戦争の間アテナイとスパルタの戦争に巻き込まれながら勢力拡大に努めた。彼とその弟の女奴隷の間に生まれたアルケラオスArchelaos(在位,前413‐前399)は父の嫡子を殺して王位に就いたが,彼は軍事体系の整備,首都のアイガイからペラへの移転,ギリシア文化の摂取・保護で知られる。…

【マケドニア】より

… マケドニアがギリシア史に現れるのはペルシア戦争前後である。アミュンタス1世Amyntas I(在位,?‐前495ころ)はペルシア帝国に服属していたが,その子アレクサンドロス1世Alexandros I(在位,前495ころ‐前450か440)は,ペルシアの敗退後ギリシア人と巧妙な交渉を行い,その子ペルディッカス2世Perdikkas II(在位,前450か440‐前413)は,ペロポネソス戦争の間アテナイとスパルタの戦争に巻き込まれながら勢力拡大に努めた。彼とその弟の女奴隷の間に生まれたアルケラオスArchelaos(在位,前413‐前399)は父の嫡子を殺して王位に就いたが,彼は軍事体系の整備,首都のアイガイからペラへの移転,ギリシア文化の摂取・保護で知られる。…

【ディアドコイ】より

…大王の死後将軍たちの間に,帝国の統一支配を目ざすか,自己の領域支配を目ざすかの対立が生まれた。帝国宰相ペルディッカスの統一支配強行に対する反発(前321)にはじまる抗争は,大王の近親をふくむ多くの権力志向者の命を失わせ,結局エーゲ海を制圧し王を称したアンティゴノス1世デメトリオス1世父子に対する,エジプト,トラキア,バビロニア,マケドニアをそれぞれ基盤とするプトレマイオス1世リュシマコスセレウコス1世,カッサンドロスKassandros連合軍の勝利となって終わる(前301)。しかしデメトリオスはカッサンドロスの死後マケドニア王となるが,前287年リュシマコスに追われる。…

※「ペルディッカス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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