フリュギア(英語表記)Phrygia

翻訳|Phrygia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリュギア」の意味・わかりやすい解説

フリュギア
Phrygia

小アジア中西部,ハリュス川西方の標高約 1000mの広大な高原地帯。前 1100年頃トラキアから移住したとされるフリュギア人 (フリュゲス) によってこの地名が生れた。彼らは「海の民」とともにヒッタイト帝国を倒し,ハリュス川西方の大部分を占領,諸部族の連合体 (ムシュキ) のもとに交易に従事した。前7世紀キンメリア人の侵入とリュディア王国の成立まで独立を保った。首都はゴルディオン。有名な王にミダス (在位前 730~700頃) がいる。前 278年頃ケルト人がこの地に侵入して以来ガラテアと呼ばれた。前 133年ローマがベルガモン王国を継いだ際,この地は属州アシアに,前 25年には属州ガラテアに編入された。西部にはヒエラポリス,コロサイ,ラオディケアの町々があり,新約聖書によれば早くからキリスト教が普及し,使徒パウロも伝道の途中この地を通過している。フリュギア人は金属細工,木工芸にすぐれていた。また宗教はキュベレと呼ばれる大地母神の崇拝を中心とし,これはギリシア・ローマ世界に広く流布した。磨崖の墳墓や神殿が発見されている。

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