ホオジロゴマウミヘビ(読み)ほおじろごまうみへび(その他表記)sharpnose snake eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホオジロゴマウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

ホオジロゴマウミヘビ
ほおじろごまうみへび / 頬白胡麻海蛇
sharpnose snake eel
[学] Apterichtus flavicaudus

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。千葉県館山(たてやま)湾、静岡県大瀬崎(おせざき)および富戸(ふと)付近の太平洋沿岸、オーストラリア南東部、ハワイ諸島、マルケサス諸島、セイシェル諸島などのインド洋・太平洋に分布する。体は横断面が円形の紐(ひも)状で、きわめて細長く伸長する。尾部は全長の半分よりもわずかに短く、全長の約46%。吻端(ふんたん)と尾端はとがる。脊椎骨(せきついこつ)数は155~166本。頭部は鋭く、突出し、前端でやや縦扁(じゅうへん)する。前鼻孔(ぜんびこう)は短い管状で、吻の下面にあり、斜め側方を向く。後鼻孔は背方に皮弁(皮質突起)をもち、目の前半よりの腹方に位置し、口の外側に開孔する。目は円形で、吻長の3分の1よりも大きい。口は頭の腹面に開き、その後端は目の後縁をはるかに越える。下顎(かがく)の先端は目の前縁の下方にある。下顎は上顎より著しく短い。上顎の縁辺に目の中ほどから口角後端まで伸びる皮褶(ひしゅう)(皮膚のしわ)がある。下顎の口角部近くにも皮褶がある。上顎に10~11本、下顎に10本、鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に5本の歯が1列に並ぶ。前上顎骨に4本の歯があり、口を閉じると露出する。鰓孔(さいこう)は腹面に開き、左右の前端は下面で接近する。すべてのひれがない。体は鮮やかなオレンジ色~黄褐色で、目の後方、口角部、側線の始部に3個の白色斑(はん)がある。虹彩(こうさい)は白い。水深20メートル付近の水流が強い砂底にすむ。砂底から頭部を出し、口をぱくぱくさせて動物性のプランクトンを捕食していると考えられる。ダイバーから「パクパク」のニックネームでよばれている。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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