改訂新版 世界大百科事典 「ほまち」の意味・わかりやすい解説
ほまち
外持とも書く。主として東国で,河原や河川の中州などに開かれた小規模な耕地をいう。ほまち田ともいった。洪水などの被害にあいやすいところに開墾されているので,不安定な収穫しか得られぬ劣悪な耕地であった。年貢の賦課される田地の売券には田数が明記されるのに対し,ほまち田の場合は〈ほまち田一枚〉とか何斗蒔と記されるのみであり,領主の関心外の耕地であったと考えられる。小百姓や下人たちが,主人の目を盗んでか,あるいは余暇の労働によって開墾し,生活の資としたり,その自立・成長の基礎とした場合が多かったと思われる。
近世になると,ひそかに蓄えた金銭すなわち〈へそくり〉や定収入以外に得た臨時収入をも意味するようになる。西国ではこれを〈まつぼり〉といい,例えば近江甲賀郡の〈山中文書〉には〈まちほり〉の用例がみられる。
執筆者:黒田 日出男
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