日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホルミル化」の意味・わかりやすい解説
ホルミル化
ほるみるか
formylation
ホルミル基-CHO(別名アルデヒド基)を導入する反応をいう。ホルミル基を炭素原子上に導入するC-ホルミル化、窒素原子上に導入するN-ホルミル化、酸素原子上に導入するO-ホルミル化などに分類できる。
C-ホルミル化はアルデヒドを生成する反応であり、次に示すようないろいろな方法で行うことができる。
(1)芳香族炭化水素のエーテル溶液に塩化アルミニウムと塩化銅(Ⅰ)の存在下で一酸化炭素と塩化水素を通ずる。この反応はガッターマンLudwig Gattermann(1860―1920)とコッホJulius Arnold Koch(1864―1956)が1897年に発見したので、ガッターマン‐コッホの反応とよばれている( の(1))。
(2)芳香族炭化水素またはアルコキシ基やジアルキルアミノ基で置換されたベンゼンと、N-メチルホルムアニリドとを、オキシ塩化リンの存在下で加熱する。
(3)フェノールのホルミル化の方法としては、エタノール(エチルアルコール)中でクロロホルムと水酸化アルカリとを作用させる方法が知られている。ライマーKarl Ludwig Reimer(1845―1883)とティーマンJohann Karl Ferdinand Tiemann(1848―1899)が発見したので、ライマー‐ティーマン反応とよばれている( の(2))。
N-ホルミル化はホルムアミドを生成する反応であり、ギ酸、一酸化炭素、クロラールなどのホルミル化剤を用いて行う。O-ホルミル化はギ酸エステルを生成する反応であり、ギ酸などの試薬を用いて行う。
[廣田 穰 2016年2月17日]