改訂新版 世界大百科事典 の解説
ボリーバル・コースタル油田 (ボリーバルコースタルゆでん)
Bolívar Coastal
ベネズエラ西部のマラカイボ湖東縁に位置する油田。発見当初はラローサLarosa,ラグニラスLagunillas,ティア・ファーナTia Juana,バチャケーロBachaqueroといった個別の油田であったが,開発が進むにつれて各油田は一体であることがわかり,全体をボリーバル・コースタル油田と呼ぶとともに,個々の油田名は油田内の地区を示す名称となっている。同国の原油の78%を産出する。埋蔵量は380億バレルと推定され,サウジアラビアのガワール油田(1150億バレル),クウェートのブルガン油田(600億~750億バレル)に次ぐ世界第3位の超巨大油田である。シェル石油は1913年に本油田の北端で1号井に着手し,18年に出油したが,後から掘削を開始した2号井が1917年に成功したので,この年が発見年とされている。おもに,アメリカ,イギリス,オランダの外国資本によって開発が続けられたが,76年国有化された。本油田は,マラカイボ湖の岸から湖中に延長し,南北約85km,東西約53kmの産油地帯をもっている。トラップは,第三紀層中の断層を伴う背斜トラップ,不整合トラップ,砂岩の尖滅トラップ,タールによる封そくトラップ等から成る組合せトラップである。原油の性状は地区によってかなり異なるが,比重10.5~21.4°API,硫黄分1.8~2.5%である。重油の大半は先進国に輸出されている。
執筆者:加藤 正和+上谷 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報