改訂新版 世界大百科事典 「ボンテンカ」の意味・わかりやすい解説
ボンテンカ
Urena lobata L.var.sinuata(L.)Gagn.
アオイ科の株立ち状になる落葉低木。高さ1mあまりで,葉を互生する。葉は数cmの長い葉柄があり,葉身は円形から広卵形で掌状に深裂し,全体に星状毛を有しているが,裏面には密生している。夏に葉腋(ようえき)から短い花梗を出し,紅色をおびた花をつける。花は5弁で,径2cmあまり。果実は倒卵形で,長さ1cmたらず,全体に小さいとげ針があって動物や衣服にくっつく。全体大型で,葉の切れ込みが浅いものをオオバボンテンカU.lobata L.(英名Aramina fibre,Congo jute)とし,小さく,茎がそう生し,葉の切れ込みが深いものをボンテンカとして区別する。両者とも熱帯域に広く野生状になって分布しているが,熱帯アフリカ原産と考えられている。茎から採れる靱皮(じんぴ)繊維はジュートと同じ用途に用いられ,栽培も試みられたが,繊維はやや短く良質でない。日本では西南暖地で観賞用に栽植されることもある。種子には15%ほどの油脂を含み,食用やセッケン製造に利用されることがある。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報