ボール爆弾(読み)ぼーるばくだん(英語表記)ball bomb

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボール爆弾」の意味・わかりやすい解説

ボール爆弾
ぼーるばくだん
ball bomb

親爆弾の中に小爆弾が多数入っている親子爆弾cluster bomb unit(CBU、破砕爆弾ともよばれる)の一種ベトナム戦争の際に、アメリカ軍が対人および対車両兵器として広く使用した。ボール爆弾地面に衝突すると、親爆弾に入っている600個の小爆弾が、長さ約1キロメートル、幅約300メートルの地域に飛び散り、さらに各小爆弾が爆発して、それぞれ約300個の鋼鉄の小球あるいは矢型の破片などが高速度で八方に飛び散る。鋼鉄片がトラックのタイヤ、燃料タンク、ラジエーターなどに穴をあけたり、人員を殺傷したりする。救助活動を妨害するために、爆発時間を遅らせる信管をつけた型も開発された。

服部 学]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボール爆弾」の意味・わかりやすい解説

ボール爆弾
ボールばくだん
ball bomb

アメリカ軍がベトナム戦争のために開発した CBU (canister bomb unit〈散弾型爆弾〉) の一種。多数の人間を一挙に殺傷することを目的とする無差別殺戮兵器で,長さ 2.1mの紡錘形の親爆弾が時限信管のセットに応じて空中で破裂すると,野球のボール状の子爆弾 300~600個が飛出し,さらに子爆弾の安全装置がはずれて爆発すると,その中に詰めてある孫爆弾の小鋼球 (直径 5.6mmでパチンコ玉より小さい) 280~300個が,秒速 510mの速さで飛散する。1発の親爆弾の散布界は,幅 300~350m,長さ 800~1000mの楕円形で,そこに9万~18万個の鋼球がばらまかれる。同種爆弾にパイナップル爆弾などがある。

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