信管(読み)シンカン(英語表記)fuze

翻訳|fuze

デジタル大辞泉 「信管」の意味・読み・例文・類語

しん‐かん〔‐クワン〕【信管】

砲弾爆弾などの弾頭または弾底に取り付け、炸薬さくやく点火・爆発させる装置

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精選版 日本国語大辞典 「信管」の意味・読み・例文・類語

しん‐かん‥クヮン【信管】

  1. 〘 名詞 〙 砲弾や爆弾に充填されている炸薬を、必要な時に、必要な場所で確実に起爆させる点火装置。弾底または弾頭に取り付ける。着発信管、遅延信管、時限信管、管制信管、近接信管(VT信管)などに分類される。〔五国対照兵語字書(1881)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「信管」の意味・わかりやすい解説

信管 (しんかん)
fuze

弾薬類を爆発させるための一連の機構および火薬をもつ装置。弾薬類に装着され,衝撃,電気的エネルギー,化学反応,静水圧等またはこれらの組合せにより作動し発火する。信管は,装着する弾薬類が所望の時機に確実に爆発する〈信頼性〉,所望の時機以外では爆発しない〈安全性〉,所望の効果を発揮するための〈効果性〉などを保証する機能をもたねばならない。信管の作動は,安全状態からいつでも作動する状態になる過程(安全解除という)と,作動し弾薬類を爆発させる過程に区分される。信管は装着対象別(砲弾用信管,爆弾用信管等),使用目的別(榴弾用信管,手榴弾用信管等),位置別(弾頭信管,弾底信管等)および機能別(着発信管,近接信管,時限信管等)などにより分類される。着発信管とは弾着により作動するもので,弾着とほとんど同時に爆発させる瞬発信管や弾着後多少遅れて(0.5秒以下)爆発させる短延期信管などがある。後者は,たとえば装甲で防護された物体に対して使用し,砲弾が装甲を貫通した後に爆発させ,被害を大きくするために用いる。近接信管はVT(variable time)信管ともいい,目標に一定距離まで接近すると作動するもので,第2次大戦中に対空火砲用に開発された。これは電波を発射して物体からの反射波をとらえるものであった。時限信管は設定した時間に作動するものであり,時間を区切る方式には電気式あるいは機械式のもの,また火薬式のものがある。後者は,砲弾を目標上空で爆発させて地表面上の被害を大きくするための曳火(えいか)射撃などに用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信管」の意味・わかりやすい解説

信管
しんかん
fuze

砲弾や爆弾に充填(じゅうてん)されている装薬を、希望の時刻あるいは希望の状況のもとで爆発または発火させるための点火用装置。

 一般に砲弾または爆弾に装備される位置によって弾頭信管、弾底信管に分けられ、さらに機能によって、(1)弾丸が目標に命中したとき瞬間的に作動する人員殺傷用の通常型瞬発信管、(2)同じ状況でも多少の遅れをもたせ、装甲などを貫徹してから作動する遅延(ちえん)信管、(3)弾丸が発射されたのち、あらかじめ指定した時間後に弾丸の装薬を点火爆発させる時限信管がある。時限信管には機械式と火薬式があるが、現在では機械式だけが対空火砲および時限爆弾などに利用されている。さらに、(4)射出された砲弾またはミサイル自体から電波を出し、目標からの反応をキャッチして作動する近接信管、(5)飛翔(ひしょう)中のミサイルまたは地雷や機雷などを遠方から電波などで操作する管制信管、などがあり、発火の方法には、火薬を利用した撃発・慣性、電気、時計、電波、磁気、音響、水圧などの種類があり、各種の目的に適合して使われている。とくに第二次世界大戦中アメリカで開発された電波利用の近接信管(VTフューズ)は対空用信管の大発明としてよく知られている。

 なお、信管は、保管中や運動中は作動をおこしえない状態に置かれるが、発射後は、信管に急激に加わる加速力や、旋条(ライフリング)のための旋転による遠心力によって信管の安全が完全に解かれてから、目的にあわせて作動する。

[小橋良夫]

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百科事典マイペディア 「信管」の意味・わかりやすい解説

信管【しんかん】

弾丸,ミサイル,爆弾,魚雷等が目標に命中または近傍を通過するなど,目的とする時と位置で爆発するように衝撃,静水圧,電気エネルギー,光,時計等の作用で引金が引かれる起爆装置。少量の鋭敏な火薬(雷管)とやや鈍感な伝爆薬および安全機構を内蔵している。装着位置によって弾頭信管,弾底信管に区別され,また作動の方法によって着発(瞬発・無延期・延期)信管,時限信管,近接信管,およびそれらの組合せによる複働信管に分類される。
→関連項目火工品時限爆弾地雷対人地雷全面禁止条約手榴弾粘着榴弾

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信管」の意味・わかりやすい解説

信管
しんかん
fuse

弾丸,爆弾,魚雷などに充填された炸薬を発火させる装置。延期信管,着発信管,近接自動信管に三大別される。延期信管は,あらかじめ時間を測定して目標の至近点で発火させるか,または望む一定時間後に発火させる装置で,機械信管と,火薬を使った曳火信管とがあり,また発火するまでの時間によって短延期信管と長延期信管に分れる。長延期信管は時限爆弾に用いられる。着発信管は,目標に当ると発火する装置で,命中とともに発火する瞬発信管と,弾丸が装甲を貫徹して初めて内部で爆発する遅動信管とがある。近接自動信管は,第2次世界大戦中に開発され,レーダあるいは赤外線探知装置を組込み,目標の近くで爆発する。またこのほかに,装着する場所によって,弾頭信管と弾底信管に分けられる。

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