日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリオキシエチレン」の意味・わかりやすい解説
ポリオキシエチレン
ぽりおきしえちれん
polyoxyethylene
ポリエチレンオキシドともいう。CH2CH2Onの構造で、エチレンオキシド(酸化エチレン)が環を開いて重合した形の化合物。重合鎖の末端にはHOあるいはHが存在し、HOCH2CH2OnHの形をとるので、ポリエチレングリコールともいわれる。重合に用いる触媒など重合の条件により、分子量200程度から数百万に及ぶ各種の分子量の重合体(ポリマー)が得られる。分子量200程度のものはカーボワックスとよばれる。高分子鎖に多数の酸素原子を含み水に溶けるので、軟膏(なんこう)、シャンプー、ひげそりクリームの基材として用いられる。また非イオン性の界面活性剤、中性洗剤、分散染料として利用される。分子量数百万のものは結晶性の固体で、水に溶けると粘性の高い溶液となり、織物の糸糊(のり)や和紙をつくるための粘結剤として利用される。
またエチレンと同族のプロピレンの酸化で生成するプロピレンオキシド(酸化プロピレン)の重合体ポリオキシプロピレンC(CH3)CH2Onはポリプロピレングリコールともよばれ、イソシアネート(-N=C=Oをもつ化合物)と反応させて、クッションやバンパーなどに利用されるポリウレタンを製造する。このため、この重合体は日本で年間30万トン程度生産されている。
[徳丸克己]