リシノール酸(読み)りしのーるさん(英語表記)ricinolic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リシノール酸」の意味・わかりやすい解説

リシノール酸
りしのーるさん
ricinolic acid

不飽和ヒドロキシカルボン酸の一つ。リシノレイン酸ricinoleic acidともよばれる。12-ヒドロキシ-9-cis(シス)-オクタデセン酸の構造をもつ。

 グリセリドとしてひまし油中に存在するので、ひまし油をけん化して得られる混合脂肪酸アセトンに溶かして、分別結晶を行うと得られる。

 常温では無色油状液体で、エタノールエチルアルコール)、エーテルクロロホルムによく溶ける。塗料印刷インキ、潤滑油、化粧品、ドライクリーニング用のせっけんを製造する原料となる。このほかに、ひまし油は下剤軟膏(なんこう)基材として薬用に供されている。

[廣田 穰 2016年11月18日]


リシノール酸(データノート)
りしのーるさんでーたのーと

リシノール酸

 化学式 C18H34O3
 分子量 298.5
 融点  α;7.7℃
     β;16.0℃
     γ;5.5℃
 沸点  α;230~235℃/9mmHg
 比重  0.940(測定温度27℃)
 屈折率 (n)1.4716
 旋光度 [α]+7.15°

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リシノール酸」の意味・わかりやすい解説

リシノール酸
リシノールさん
ricinoleic acid

水酸基と炭素-炭素二重結合をそれぞれ1個有するカルボン酸。次の化学式をもつ。

CH3(CH2)5CH(OH)CH2CH=CH(CH2)7COOH

ひまし油中に存在し,脂肪酸として 90%を占める。油状で,融点 5.5℃,沸点 245℃ (10mmHg) 。ドライクリーニング用の石鹸や繊維油剤の製造原料となる。

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