改訂新版 世界大百科事典 「マキリタレ」の意味・わかりやすい解説
マキリタレ
Makiritare
南アメリカの北緯3°~6°,西経63°~66°の,おもにベネズエラに住むインディオ。人口約1500。言語はこの地域に広く見られるカリブ語系に属する。自称はイェクアナで,マキリタレの名はアラワク語系の言葉で〈水の人々〉を意味し,水路を利用しての近隣部族との交易は有名である。白人との接触は18世紀中葉にさかのぼる。生業は男性の狩猟と女性の焼畑農耕が主で,漁労は二次的である。狩猟は彼らの特産品である吹矢を用いることが多く,バク,鹿などの大型動物のときには弓矢も用いる。農耕は畑を開くまでは男の仕事であるが,その他はもっぱら女性の領分であり,畑面積の90%が根菜類,特にマニオクによって占められる。村の独立性は高く,社会的・政治的な単位となっており,村の内外の区別が明確なため,かつてはしばしば他村との戦争もあった。1村にひとつある円形の共同家屋は,彼らの世界の象徴である。
執筆者:原 毅彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報