日本大百科全書(ニッポニカ) 「マシス」の意味・わかりやすい解説
マシス
ましす
Henri Massis
(1886―1970)
フランスの批評家、カトリック思想家。20世紀初期にはAgathonの筆名で『新ソルボンヌの精神』や『現代の若ものたち』(ともに1911)を発表して注目を集め、ついで『審判』2巻(1923)や『西洋の防衛』(1927)を著して文壇・論壇で活躍したが、その批評眼の底にはトマス主義に拠(よ)る熱烈な信仰心があった。またモーラスに誘われてアクシオン・フランセーズの政治運動に参加し、愛国思想を鼓舞した。第二次世界大戦中ビシー政府に加担したため、戦後しばらく沈黙を守ったが、1960年フランス・アカデミー会員に推される。著書にはこのほか『モーラスと現代』(1951)、『バレスとわれわれ』(1962)などがある。
[西村嘉彦 2015年6月17日]