改訂新版 世界大百科事典 「マックニース」の意味・わかりやすい解説
マックニース
Louis MacNeice
生没年:1907-63
イギリスの詩人。ベルファストに生まれ,オックスフォードに学ぶ。1930年代に,大学で教鞭をとりつつ,W.H.オーデンやS.スペンダーとともに詩壇にデビュー。この時期の代表作《秋の日記》(1939)は,政治的風刺のみならず,自伝的告白,哲学的考察,古代ギリシア世界の喚起などを含んでいる。《訪れ》(1957),《至高点》(1961),《燃える止り木》(1963)などの晩年の詩集は,抒情性から深刻,痛烈な現実観察を経て諧謔味に至る多様な声調によって,彼がオーデンとともに30年世代の生んだ最もすぐれた詩人の一人であることを証明している。イギリス放送協会の作家,プロデューサーとして《暗い塔》(1947)をはじめとする多くのラジオドラマを書いたほか,《アガメムノン》(1936),《ファウスト》(1951)などの英訳も手がけた。評論《現代詩》(1938)は30年代詩の最良のマニフェストであり,《イェーツの詩》(1941)もすぐれている。オーデンとの共著《アイスランドからの手紙》(1937)もある。
執筆者:高橋 康也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報