日本大百科全書(ニッポニカ) 「マネタリーベース」の意味・わかりやすい解説
マネタリーベース
まねたりーべーす
monetary base
中央銀行が供給する通貨のこと。日本の場合には日本銀行が供給する円通貨であり、具体的には市中に出回っている流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値をさす。マネタリーベースは日銀から民間金融機関に供給され、一般企業や個人への貸し出しの原資となる。金融機関と企業間を資金が循環することにより預金通貨を増やす信用創造機能が生じ、マネーストック(世の中に出回っている通貨の総額、マネーサプライともいう)を増やしていく。このようにマネタリーベースは、マネーストックの基となる通貨のため「ベースマネーbase money」ともよばれる。また、預金通貨を増やす強い力をもつという意味で、「ハイパワードマネーhigh-powered money」ともよばれる。2013年(平成25)4月、日銀総裁の黒田東彦(はるひこ)(1944― )は、マネタリーベースを2年で2倍(138兆円から270兆円)にする新たな目標を明らかにした。また、金融調整の効果を計る指標として、従来は無担保コール翌日物金利が使用されていたが、2013年4月以降はマネタリーベースが採用されている。
[編集部]