森林・木材科学分野における研究等に対して授与される賞。略称MWP。森林界のノーベル賞といわれ、マーカス・ワレンバーグ賞とも表記される。森林・木材科学分野および関連生物分野などにおける卓越した研究成果や、利用技術の実用化に大きく貢献した個人・研究グループに対し、スウェーデンのマルクス・バーレンベリ財団から授与される。賞金は合計200万クローナ(約2800万円)。毎年1回、1人もしくは1グループが選ばれる。授賞式はノーベル賞受賞者の宿泊先として知られるストックホルムのグランドホテルで、スウェーデン国王夫妻を迎えて行われる。
運営にあたるマルクス・バーレンベリ財団は、製紙・木材販売を主体とするフィンランドのストラ社(現、ストラ・エンソ社)が、同社取締役・会長であったバーレンベリMarcus Wallenberg(1899―1982)の功績を称(たた)え、1980年に設立した。翌1981年、森林・木材分野における基礎研究や利用技術の画期的な研究や開発を促進することを目的に同賞が創設された。第1回の受賞者は、木材パルプの生成のためのリグノセルロース材料の脱リグニン化に関し、アントラキノンなどを使用する有用性を発見したホルトンHarry Hutchinson Holton(カナダ)であった。2015年(平成27)には、東京大学大学院教授磯貝明(いそがいあきら)(1954― )、准教授齋藤継之(さいとうつぐゆき)(1978― )、フランス国立科学研究庁植物高分子研究所上級研究員西山義春(1972― )の三人が、アジア初の受賞者となった。彼ら三人は、セルロース分子の集合体・結晶性セルロースミクロフィブリルにTEMPO触媒酸化を適用することで、高効率に解繊しセルロースナノファイバー(CNF)を得る方法を開発。これによりCNFの幅広い分野での利用が可能となり、この業績が評価された。
[編集部 2016年9月16日]
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