アントラキノン(読み)あんとらきのん(英語表記)anthraquinone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アントラキノン」の意味・わかりやすい解説

アントラキノン
あんとらきのん
anthraquinone

広くはアントラセンから誘導されるキノンをいうが、通常は9,10-アントラキノンをさす。黄色結晶。誘導体としてはアリザリンなどが知られていて、アカネ科タデ科マメ科の植物に広く分布している。アントラセンを酸化するか、ないしはベンゼン無水フタル酸とのフリーデル‐クラフツ反応により合成する。熱したベンゼン、ニトロベンゼンアニリンなどによく溶けるが、エーテルには溶けにくい。重要な染料中間体である1-アミノアントラセン、アリザリンなどの合成に用いられる。亜鉛と酸により還元するとアントラセンになるが、穏やかに還元するとアントラヒドロキノンになる。アントラキノンをさらに酸化することはむずかしい。

[廣田 穰]



アントラキノン(データノート)
あんとらきのんでーたのーと

アントラキノン

 分子式  C14H8O2
 分子量  208.2
 融点   287℃
 沸点   379.8℃
 比重   1.308

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントラキノン」の意味・わかりやすい解説

アントラキノン
anthraquinone

化学式 C14H8O2 。3種の異性体があり,いずれも黄色の結晶。9, 10-アントラキノンが重要であり,通常これをアントラキノンという。染料中間体として重要な化合物で,アントラセンを二クロム酸カリウム希硫酸で酸化して得られる。融点 286℃。還元条件によりアントラセン,アントロンあるいはアントラヒドロキノンを生じる。

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