マルコビッチ(読み)まるこびっち(英語表記)Svetozar Marković

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルコビッチ」の意味・わかりやすい解説

マルコビッチ
まるこびっち
Svetozar Marković
(1846―1875)

セルビア社会主義の先駆者。ベオグラードの工業専門学校を卒業し、その後1860~1870年にペテルブルグチューリヒに留学。ドブロリューボフ、ラブロフ、チェルヌィシェフスキーらロシアの革命家の思想、第一インターナショナルの諸思想の影響を受けた。結局、セルビア農村社会の変革のためには、ロシアの農村共同体を中心に社会主義を考えるチェルヌィシェフスキーの教義に基づくべきだとして、農村共同体「ザードルガ」を核とする社会主義建設を試みた。またバルカン諸民族の解放のためには、連邦主義を基礎とした民主的なバルカン半島統一が必要だと主張した。新聞・雑誌を通じ、政治・経済面だけでなく、文芸面でもその才能を発揮したが、夭折(ようせつ)。彼の思想は、その後のセルビア社会主義運動に多大な影響を与えた。

[柴 宜弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルコビッチ」の意味・わかりやすい解説

マルコビッチ
Marković, Svetozar

[生]1846.9.21. ザイェチャル
[没]1875.3.10. トリエステ
セルビアの文学評論家,思想家。ロシア留学中に社会主義思想に触れ,第1インターナショナルに参加。帰国後,バルカンにおける最初の社会主義新聞『労働者』 Radnikを発行した (1871) 。主著詩作と思想』 Pevanje i mišljenje (68) ,『詩における現実』 Realnost u poeziji (70) ,社会評論『東方におけるセルビア』 Srbija na Istoku (72) 。

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