ラブロフ(読み)らぶろふ(英語表記)Пётр Лаврович Лавров/Pyotr Lavrovich Lavrov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラブロフ」の意味・わかりやすい解説

ラブロフ
らぶろふ
Пётр Лаврович Лавров/Pyotr Lavrovich Lavrov
(1823―1900)

ロシアの革命家ナロードニキの理論的指導者。プスコフ県の地主貴族の家柄に生まれ、ペテルブルグの砲術学校を卒業後、軍の学校で数学を教えた。しかし、チェルヌィシェフスキーの救援活動から当局に目をつけられ、1867年ボログダ県に流刑となった。この流刑中に『歴史書簡』を執筆した。そのなかで革命闘争における「批判的に思考する個人」の重要性を説いて、ナロードニキの運動に大きな影響を与えた。1870年流刑地を逃亡してパリへ亡命し、第一インターナショナルに加盟するとともに、パリ・コミューンにも積極的に参加した。1871年コミューンによってロンドンに派遣され、そこでマルクスおよびエンゲルスと知り合う。ラブロフは、革命的プロレタリアートが社会変革の中心勢力である西ヨーロッパと違って、遅れたロシアではインテリゲンチャ人民のなかに社会主義思想の宣伝をすることによって、社会革命の準備をすべきであるとして、1873~1876年に雑誌『前進!』を発行した。しかし、1880年代になると革命党の政治闘争=テロの重要性を認め、「人民の意志」党と提携して『人民の意志通報』の編集にあたった。1900年亡命先のパリで死去

[外川継男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラブロフ」の意味・わかりやすい解説

ラブロフ
Lavrov, Pëtr Lavrovich

[生]1823.6.14. メレホボ
[没]1900.2.6. パリ
ロシアの革命家,哲学者。ナロードニキの代表的理論家でマルクスらとも親交が深かった。 1870年亡命先のパリで発表された『歴史書簡』 Istoricheskie pis'ma (1868~69) は民衆に対するインテリゲンチアの歴史的義務を説き,「人民のなかへ (ブ・ナロード) !」運動の福音書となった。 73~76年農民革命を志向する新聞『前進!』 Vprëd!を発行した。

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