インド中西部、デカン高原の北端に広がる高原地帯。マルワとは台地を意味する。マディヤ・プラデシュ州に属する。南はビンジャ山脈に限られ、北はヒンドスタン平原に接する。北に緩く傾き、南は標高580メートル、北は500メートルで、北半分は先カンブリア代の地質、南半分はデカン溶岩が分布する。サバナ気候下で年降水量900~1200ミリ、年平均気温25℃、レグール土が広く分布し、綿花の栽培が盛ん。ほかに麦、キビが主作物で溜池(ためいけ)が点在する。マンダサールにはチャンバル川をせき止めたガンディ・サガール・ダムがあり灌漑(かんがい)用水が供給されている。近くに原子力発電所が立地する。鉱産資源として鉄、マンガンがあり、インドール、ボパール、ウジャイン、ラトラームなどの主要都市がある。
[成瀬敏郎]
アフリカ中部、カメルーン北部の都市。人口27万1700(2001推計)、43万6715(2010推計)。サハラ砂漠の南縁に横たわるサヘル地帯の主要都市で、イスラム文化圏内にあり、かつてはメッカ巡礼への道の中継地であった。半乾燥農牧業の中心地であり、牛と綿花や雑穀など農産物の集散が行われる。1926年、コンゴ紀行からの帰途ここを訪れたアンドレ・ジッドは世界でもっとも崇高な地と賞賛した。町並みは、白壁で囲まれた土塗りの家と常緑のインドセンダンとセネガルマホガニーの街路樹とが醸し出す潤いのある景観で特徴づけられている。南郊に空港があり、北のワザ国立公園や西の景勝地ルムシキなどへの観光基地をなす。近郊に食用油や缶詰などの工場があり、2008年に国立マルワ大学が開校した。
[門村 浩]
…カーバ内にあり,彼の足跡が残されているとされるイブラーヒームの立ち所は,この故事の歴史的信憑性を示す証拠とされている。イブラーヒームが息子イスマーイール(イシュマエル)を神の犠牲にささげようとした場所といわれるミナーMinā,アフリカ生れの妻ハージャル(ハガル)がみどり子のイスマーイールを連れてその間をさ迷ったといわれるサファーṢafāとマルワMarwaの丘,その際幼児を哀れみ,母親の子を思う誠意にこたえて渇きをいやすため神が恵み給うたとされるザムザムZamzamの泉など,カーバとその周囲には,イブラーヒームにゆかりのある土地が数多く,これらはイスラム登場後も巡礼の儀式に深く結びついた場所となっている。 メッカは,文明の喧騒から離れた位置にあり,砂漠のただ中にあって特有の清浄さ,質実剛健の気風を培うには最良の環境にあり,イスラムの教えによれば神から遣わされた最後の預言者であるムハンマドが布教を開始し,数々の模範的な先例を残した場所でもある。…
※「マルワ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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