日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルーフ」の意味・わかりやすい解説
マルーフ
まるーふ
David Malouf
(1934― )
オーストラリアの詩人、小説家。クイーンズランド州都ブリズベン生まれ。レバノン系3世。父方は1880年代レバノンから、母方は第一次世界大戦直前ロンドンからの移民。クイーンズランド大学卒業。1959年渡英。教職のかたわらヨーロッパを見聞。1968年帰豪後約10年間シドニー大学で英語の講座担当。78年より創作に専念。詩集第一作『自転車』(1970)、『やぶの中の隣人』(1974)はグレース・レブン賞ならびにジェイムズ・クック賞受賞。以降の5冊の詩集・詩選集は『デビッド・マルーフ:詩1959-89』(1992)として出版。自伝的小説第一作『ジョノ』(1975)は批評家の激賞を得る。『仮想生活』(1978)は1979年度ニュー・サウス・ウェールズ州プレミア賞受賞作品。児童向け戯曲『とんでいけ、ピーター』(1982)、『ハーランドのハーフ・エーカー』(1984)、13話からなる短編小説集『アンテポーデズ(対蹠(たいせき)地の人々=イギリスの正反対にあたる地、オーストラリアの人々)』(1985)など、多数の賞を得る。オーストラリア・オペラ委託の、P・ホワイトの小説『ボス』のオペラ化の台本を担当、話題となる。春秋はトスカナ地方、冬期はブリズベン住まいの一時移住者。
[古宇田敦子]