マンボウガイ(英語表記)bull mouth helmet shell
Cypraecassis rufa

改訂新版 世界大百科事典 「マンボウガイ」の意味・わかりやすい解説

マンボウガイ (万宝貝)
bull mouth helmet shell
Cypraecassis rufa

トウカムリガイ科の巻貝。殻は厚質堅固で倒卵形,高さ15cm,径10cmくらいになる。巻きは低くて,最後の巻きは大きい。表面は紫灰色で黒褐斑があり,結節のある3~4本の太く低い肋があり,太い肋の間には細い肋がある。殻口は成貝では外側の縁が厚くなって内方へ曲がり,殻口を細長く狭める。そしてその縁に多くのしわがあって櫛歯(くしば)状になる。また軸側は橙色の色帯のある滑層が広く最後の層上をおおい,その縁には多くのしわがあり,しわの間は黒い。奄美諸島以南~熱帯太平洋,インド洋に広く分布し,潮間帯下の岩礁にすみ,ヒトデを食べる。貝殻が適度に固く,カメオの材料になる。イタリアの名産でとくにナポリで製作が盛んで,日本にも輸入される。殻はまた貝細工の材料ともなる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンボウガイ」の意味・わかりやすい解説

マンボウガイ
Cypraecassis rufa; bullmouth helmet shell

軟体動物門腹足綱トウカムリ科。殻高 18cm,殻径 14cm。殻は重厚堅固,倒卵形で,螺塔は低く,体層は大きい。殻表は紫灰色地に黒褐色斑があり,通常結節のある5本の太い螺肋がある。殻口は狭いが,内唇には橙色の滑層が広く広がり,殻口壁には多くの皺がある。インド洋から熱帯太平洋に広く分布するが,マダガスカルなどインド洋西部に多い。非常にまれではあるが沖縄からも採集される。潮間帯下の岩礁にすむ。ウニ類を好んで食べる。種々の貝細工の材料になり,また殻の層の色彩の違いを生かして彫刻を施し,カメオをつくる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンボウガイ」の意味・わかりやすい解説

マンボウガイ
まんぼうがい / 万宝貝
bull mouth helmet shell
[学] Cypraecassis rufa

軟体動物門腹足綱トウカムリガイ科の巻き貝。奄美(あまみ)諸島以南の熱帯太平洋およびインド洋に分布し、潮間帯下の岩礁にすむ。殻高18センチメートル、殻径14センチメートルに達し、殻は重厚堅固で倒卵形。螺塔(らとう)は低く体層が大きくて、大きい結節のある太い螺肋(らろく)が約5本目だつ。殻表は紫灰色の地に黒褐斑(はん)がある。殻口は狭いが、橙(だいだい)色の滑層が広く発達し、殻口壁に多くのしわがある。この殻の何層にも重なった色彩層に応じて彫り分けた浮彫りをカメオという。そのほかの貝細工にも用いられる。

[奥谷喬司]

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百科事典マイペディア 「マンボウガイ」の意味・わかりやすい解説

マンボウガイ

トウカムリガイ科の巻貝。高さ15cm,幅10cm。殻は厚く倒卵形。殻口は赤紫色で,ひだは白色,だいだい色の滑層が体層の上に厚く広がる。奄美群島以南,西太平洋,インド洋に分布,潮間帯下の岩礁にすみ,ヒトデを食べる。殻を観賞用とするほか,滑層の色調を利用してカメオを作る。

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世界大百科事典(旧版)内のマンボウガイの言及

【トウカムリガイ(唐冠貝)】より

…肉は食用とし,殻は磨いて置物にする。また近似種のマンボウガイC.rufaとともに貝細工の材料となる。【波部 忠重】。…

※「マンボウガイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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