ミーラン(読み)ミーラン(英語表記)Mirān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミーラン」の意味・わかりやすい解説

ミーラン(米蘭)
ミーラン
Miran

中国のシンチヤン(新疆)ウイグル(維吾爾)自治区南東部にある都市遺跡。西域 36国の一つ。鄯善国の扞泥城(うでいじょう)の地にあたる。ロプ(羅布)砂漠南部に位置し,3世紀以前の仏寺の廃虚,8世紀頃の都城址が残る。仏寺からはガンダーラ仏カローシュティー文字を用いた文書などが発見されており,このことからヘレニズム文化の影響がこの地にまで及んだことが知られる。都城址はチベット様式のもので,チベット語や古代トルコ語による文書が発見されており,この地が 4世紀以後,一時廃虚となり,のち再びチベット人のタリム(塔里木)盆地進出の基地として再生した様子がうかがえる。当時はチベット名でノブ=チュン(小ノブ)と呼ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミーラン」の意味・わかりやすい解説

ミーラン
みーらん
Mirān

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区東辺のロプ砂漠南辺にある都城址(し)。スタインの第二次および第三次探検により、2種類の遺跡が発見された。その第一はMⅡからMⅤに至る3~5世紀の寺院址で、いずれもストゥーパを中心とする仏塔寺院形式である。とくにMⅢ寺址からは美しい有翼天使像の壁画が出土したことで名高い。MⅢの西54メートルにMV寺址があり、ここからは須大拏(ビシユバンタラ)太子本生や、いかにもグレコ・ローマン風の花綵(はなづな)をもつ男女群像壁画等が出土し、この地がヘレニズム文化の東端であったことを示している。第二はMⅠ城址で、チベット文書、武器、黒漆塗りの小札(こざね)の皮鎧(かわよろい)などから吐蕃(とばん)の遺跡とみられる。この地は古来西域南道の要衝であり、かつ青海路との交会点として重要なオアシスであった。

[長澤和俊]


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