1982年に登録されたアルジェリアの世界遺産(文化遺産)で、アルジェの南450kmに位置する。このムザブの谷には、「イスラムの清教徒」といわれたベルベル人の一部族、ムザブ族が涸れ谷に築いた5つの町がある。ムザブ族は厳格なイスラム教徒であり、「コーラン」に忠実に生きようとしたことからイスラムでも異端とされ、流浪の末にこの地にたどり着いた。実際、ムザブ族の生活は現在でもコーランの規律を厳格に守っており、禁欲的イスラム教徒として生活形態も当時と変わらず、統一された家屋のデザインやモスクを中心に同心円状に住宅が配置されている都市計画なども、住人の平等の精神が徹底されているからこそ実現しているといわれる。そしてその都市設計は、20世紀の建築家たちにも大きな影響を与えたため、歴史的例証として世界遺産に登録された。◇英名はM'Zab Valley