ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムベキ」の意味・わかりやすい解説
ムベキ
Mbeki, Thabo
南アフリカ共和国の政治家。大統領（在任 1999～2008）。南アフリカにおけるアパルトヘイト（人種隔離）政策の撤廃を目指した組織，アフリカ民族会議 ANCの指導者だった父ゴバン・ムベキを通じて，子供時代から政治の世界にふれ，1956年から ANCの活動に参加。父は 1964年にネルソン・マンデラとともに投獄され，1987年に釈放された。ムベキはトランスケイで教育を受けたのち，1962年に不法出国してイギリスに渡り，サセックス大学で 1966年に経済学修士号を取得。1990年，ANCが合法化されたことをうけ帰国，1994年に成立した南アフリカ初の全人種参加政権で，マンデラ大統領から副大統領に任命され，国政運営に大きな役割を果たした。1997年には ANC議長となり，ANCが 1999年6月の議会選挙に勝利すると，マンデラの後継として大統領に就任した。ムベキ政権はアパルトヘイト体制からの移行推進，急増する犯罪の抑制，アフリカにおけるエイズ対策に努力を傾注し，アフリカへの国際投資増大とアフリカ諸国の債務救済推進にも尽力した。2007年に ANC史上まれにみる激戦となった議長選挙でジェイコブ・ズマに 3選を阻まれた。ズマは 2005年に汚職疑惑のためムベキによって副大統領を解任されていたが，高等法院でズマの汚職疑惑による訴追には政治介入があったとする判断が示されたため，2008年9月，ANCはムベキに大統領辞任を求めた。ムベキは憲法上の関連要件が満たされると辞職を表明した。
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