メキシコ地震(読み)めきしこじしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メキシコ地震」の意味・わかりやすい解説

メキシコ地震
めきしこじしん

1985年9月19日にメキシコ太平洋岸で発生した地震震央は北緯18.2度、西経102.6度、表面波マグニチュード(MS)8.1、モーメントマグニチュード(MW)8.0であった。震央距離にして約400キロメートルも離れたメキシコ市被害が集中し、高層建物の倒壊などにより約1万人の死者を出した。この地震は太平洋岸のココスプレートがアメリカプレートの下に潜り込むことにより発生したと考えられる。地震の発生した所は以前から地震空白域として指摘されてきた所である。メキシコ市は、太平洋岸でおこる遠い地震により過去何度も大きな被害を出してきた。これは、メキシコ市の地盤がきわめて軟弱であることが大きな原因になっていると考えられている。

[山下輝夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メキシコ地震」の意味・わかりやすい解説

メキシコ地震
メキシコじしん
Mexico City earthquake of 1985

1985年9月19日午前7時18分頃にメキシコの太平洋岸で発生したモーメントマグニチュード(Mw)8.0の地震。メキシコの太平洋側に沈み込んだココスプレートのずれが原因で,断層の長さは 170km,ずれは 2.2mであった。震源から 400kmも離れたメキシコシティーでの被害が大きく,420のビルが崩壊,1万人以上の死者が出た。崩壊したビルの大半は 8階から 18階建ての中高層ビルであった。盆地水抜きと埋め立てで築き上げたため地盤が軟弱で,2~4秒のやや長周期の地震波が増幅されたうえ,強震動の継続時間が 2~4分に延ばされた。その振動とビルが共振 (→共鳴) を起こしたため,中高層ビルの被害が増えた。

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