改訂新版 世界大百科事典 「メジニラ」の意味・わかりやすい解説
メジニラ
Medinilla
ノボタン科ノボタンカズラ属Medinillaの常緑低木やつる性木本で,アフリカ,東南アジアから太平洋諸島に125種あまりを産する。しばしば樹上に着生し,よく分枝して伸びる。葉は対生し,角ばった茎につき,卵状楕円形か長楕円形,やや硬質,濃緑色で光沢があり,3本の葉脈がはっきりあらわれる。花は桃色で,5枚の花弁を有し,枝端に下垂するように出る円錐花序につく。
メジニラ・マグニフィカM.magnifica Lindl.はフィリピン原産で,高さは1.5m以上となり,多数分枝し横へ広がり,株全体がよくしげる。茎は四角形で,若い先端部は緑色を呈し,老化するにしたがい木質化し茶褐色となる。葉は対生し,卵状楕円形で長さ20cm,幅15cmくらい。表面は濃緑,革質で,葉脈が淡緑色にあらわれる。花は日本の温室では夏に長いあいだ咲き,茎の先端から出る大きな桃色の苞を基部にもつ円錐状の花序に多数つき,サンゴ赤色。
ノボタンカズラ属は小さいが蠟質の美しい花をつけ,温度さえあればじょうぶな種が多いので,観賞用花木として注目される群である。また果実は酸味があり,食用にされる。熱帯が原産であるため,耐寒性はなく,冬は15℃以上を保つ。温室内の日当りでつくるが,明るい日陰でも花は咲く。培養土は排水のよい軽い土がよい。繁殖は取木か挿木で,挿す場合は若い枝の部分がよく,時期は6,7月ごろ。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報