改訂新版 世界大百科事典 「モクセイソウ」の意味・わかりやすい解説
モクセイソウ (木犀草)
mignonette
Reseda odorata L.
花の香りがよいので特にヨーロッパではよろこばれるモクセイソウ科の一年草。ニオイレセダともいう。原産地は北アフリカ。茎は高さ30~40cmとなり,横に広がり,6月には分枝した茎に芳香のある黄白色の小花を穂状に密生するが,花としての観賞価値は少ない。種まきは9月末,苗は日当りと排水のよい場所で越冬させるが,暖地では花壇に直播して育てることもできる。別種のシノブモクセイソウR.alba L.は南ヨーロッパ原産の一年草で,高さ60~90cm,よく分枝して直立し,羽状に深裂した葉をつけ,6月には帯緑白色の小花をつける。花の香りはモクセイソウに及ばないが,葉がシノブに似て軽快な感じがする。育て方はモクセイソウに同じでよい。
執筆者:浅山 英一
名前の由来
モクセイソウはエジプトからフランス経由でヨーロッパ各地に広まった。英名のミニョネットもフランス語mignon(〈小さくかわいい〉の意)から出たものである。古くは地中海沿岸で傷や炎症をやわらげるのにこの草の汁を塗った。属名はラテン語のresedo(〈癒す〉の意)に由来する。これから黄色の染料が得られ,古代ローマでは婚礼衣装を染めるのに用いられた。控えめな女性の美徳を象徴し,花言葉も〈器量より気立て〉とされる。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報