ヤハズハンノキ(読み)ヤハズハンノキ(英語表記)Alnus matsumurae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤハズハンノキ」の意味・わかりやすい解説

ヤハズハンノキ(矢筈榛木)
ヤハズハンノキ
Alnus matsumurae

カバノキ科の落葉高木で,中部地方,東北地方中南部の深山の崩壊地などに生育する。幹は大きいもので高さ 20mほどになり,小枝は無毛で暗灰色を帯び,葉を互生する。葉は倒心円形で,先が矢筈のように凹入し,これが和名由来になっている。春,葉の展開に先立って開花し,雌雄同株であるが雌雄花序を別々につける。雄花序は尾状で (→尾状花序 ) ,枝先やその近くの葉腋下垂する。雌花序は,雄花序よりやや下方の葉腋に上向きに3~4個つき,果期には球果状になる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤハズハンノキ」の意味・わかりやすい解説

ヤハズハンノキ
やはずはんのき / 矢筈榛木
[学] Alnus matsumurae Call.

カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉小高木。高さ10メートルに達する。樹皮は灰黒色、小枝は紫灰色で皮目がある。葉は倒心形で長さ5~10センチメートル、先はくぼみ、基部は広いくさび形となり、縁(へり)に重鋸歯(じゅうきょし)がある。側脈は6~9対あり、表面は濃緑色裏面は粉白色を帯びる。雌雄同株。4~5月、開花する。果穂は楕円(だえん)形で長さ1.5センチメートル、堅果広楕円形でごく狭い翼がある。亜高山の疎開地や崩壊地に生え、中部地方以北の本州に分布する。名は、葉の形を矢筈(やはず)に見立てたもの。

[菊沢喜八郎 2020年2月17日]

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