日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤワタソウ」の意味・わかりやすい解説
ヤワタソウ
やわたそう
[学] Peltoboykinia tellimoides (Maxim.) Hara
ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の多年草。根茎は肥厚して短く、長い柄をもつ大形の根出葉がある。葉は盾状につき、直径20~30センチメートルで7~13に浅裂する。5~7月、高さ30~60センチメートルの花茎を出し、先に集散花序をつけ、淡黄色の花をつける。萼(がく)裂片は5枚、鋭頭の三角形で直立する。花弁は5枚、短腺毛(せんもう)が密生し、萼裂片よりはるかに長いへら形で、上部に少数の鋭い鋸歯(きょし)がある。雄しべは10本。子房は半下位。蒴果(さくか)は2本の花柱の間で裂け、多数の種子を出す。本州中部以北の、谷沿いの湿った林床に分布する。近縁種のワタナベソウは、葉が7~9に中深裂し、四国、九州の深山に分布する。
[若林三千男 2020年3月18日]