ユキノシタ科(読み)ゆきのしたか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユキノシタ科」の意味・わかりやすい解説

ユキノシタ科
ゆきのしたか
[学] Saxifragaceae

双子葉植物、離弁花類草本または低木。バラ科やベンケイソウ科にもっとも近縁といわれる。形態的には多様であり、簡単に定義することはむずかしいが、おもに花の形態で以下のような特徴を示す。花弁萼片(がくへん)は普通は4または5枚。雄しべは花弁と同数かその2倍数、まれに多数。子房は上位から下位まである。心皮は普通は2枚であるが、3~5枚のものもあり、それらが多少とも互いに癒合した合成心皮の雌しべをつくる。胚珠(はいしゅ)は中軸または側膜胎座に多数つく。果実は蒴果(さくか)でまれに液果となる。

 世界に広く分布し、とくに温帯に多く、約80属1200種が知られる。日本にはユキノシタ属、ウツギ属、クサアジサイ属など21属約100種分布し、イワユキノシタ属、キレンゲショウマ属、バイカアマチャ属、ヤワタソウ属などのように日本や東アジア特産属が多い。観賞用や果樹があり、アジサイ、アスチルベバイカウツギ、ユキノシタなどの観賞植物や、スグリなどの果樹が知られる。

[若林三千男 2020年3月18日]

 APG分類では大きく再編され、ユキノシタ亜科とされていたものだけがユキノシタ目ユキノシタ科とされる。その他は、ユキノシタ目ズイナ科、スグリ科、タコノアシ科、ニシキギ目ニシキギ科、ミズキ目アジサイ科に再編された。世界に48属約775種が知られ日本には10属約60種が分布する。

[編集部 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユキノシタ科」の意味・わかりやすい解説

ユキノシタ科
ユキノシタか
Saxifragaceae

双子葉植物マンサク目の科で多くは草本であるが,ウツギ類などの低木も含む。萼片,花弁はともに 4~5枚,おしべは 10本が普通で,めしべは 4~5個の心皮がそれぞれ独立しためしべをつくるものと,癒合して 1本のめしべをつくるものとがある。北半球の温帯を中心に 36属,約 600種があり,高山植物となっているものも多い。日本には,草本のものではネコノメソウ,ユキノシタ,チダケサシなどの諸属が,また木本ではウツギ属などが広く自生している。

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世界大百科事典(旧版)内のユキノシタ科の言及

【ユキノシタ】より

…山中の陰湿な岩上などに群生するユキノシタ科の多年草(イラスト)。観賞用として人家の庭先や生垣にもよく栽培される。…

※「ユキノシタ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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