日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユスティヌス」の意味・わかりやすい解説
ユスティヌス(1世)
ゆすてぃぬす
Justinus Ⅰ
(450ころ―527)
ビザンティン皇帝(在位518~527)。マケドニアの農家の出身で、首都コンスタンティノープルの近衛(このえ)軍に入隊。アナスタシウス1世の下で同軍の司令官に昇進し、同帝没後は老齢で皇帝に推された。彼は、正統・異端論争に決着をつけるべく敢然と単性説を否定、ローマ教皇との34年間に及ぶアカキオスの分裂事件に終止符を打った(518)。対外的には、南アラビアのアビシニア王国にもキリスト教伝道を促進させた。甥(おい)のペトルス・サバティウス(後のユスティニアヌス1世)を養子に迎え、高等教育を受けさせ、のちには執政官、共同皇帝にするなどして、教育のない自分にかわって政治の実務をとらせた。
[和田 廣]