日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨモギギク」の意味・わかりやすい解説
ヨモギギク
よもぎぎく / 艾菊
tansy
[学] Tanacetum vulgare L.
Chrysanthemum vulgare (L.) Bernh.
キク科(APG分類:キク科)の多年草。ヨーロッパ、シベリアに分布し、北アメリカでは栽培種が野生化している。茎は角をもって硬く、直立し、高さ30~100センチメートル。赤みを帯びた茎の上部は分枝し、散房花序状に頭花をつける。葉は互生し、長さ15~25センチメートルの長楕円(ちょうだえん)形で、羽状に深裂する。披針(ひしん)形の各裂片と中軸の翼には、はっきりとした鋸歯(きょし)がある。頭花は黄金色でほぼ平面に並ぶ。ヨモギギクの名は、舌状花をもたない点がヨモギに似るということからつけられた。全体に強い香りがあるが、これはツヨン、ボルネオールなどからなる精油を含むためである。ヨーロッパでは、全草と花を健胃剤、駆虫剤として用いる。北海道にはエゾノヨモギギクvar. boreale (Fisch.) Makinoがあるが、薬用には適さない。
[長沢元夫 2022年5月20日]