改訂新版 世界大百科事典 「ヨークシャー種」の意味・わかりやすい解説
ヨークシャー[種]
Yorkshire
イギリスのイングランド北部ヨークシャーで成立したブタの品種。大・中・小の3型があるが,小ヨークシャー種(Small Yorkshire,Small White)は絶滅した。大ヨークシャー種(Large Yorkshire,Large White)は,世界中に広く分布し飼育されている加工用の優良品種で,被毛は白色,大型で顔は長く,しゃくれが少なく耳は直立していて大きい。胴の伸びは良好で,後軀(こうく)も充実している。体重は成豚の平均で300~350kgになる。ヨーロッパイノシシの直系の子孫で,アジア系のブタの血液は入っておらず,骨太でやや晩熟である。欧米でヨークシャー種というと普通本種を指すが,日本では中ヨークシャー種(Middle Yorkshire,Middle White)を意味している。中ヨークシャー種は,大ヨークシャー種と小ヨークシャー種の交雑種を基礎にして作出された品種で,小ヨークシャー種を通してアジア系のブタの特徴(骨細で,性成熟が早く,脂肪の蓄積がよい。顔が短くしゃくれている)を受けついでおり,外貌・性質は両者の中間で生肉用の品種である。体の大きさは中等。顔はほどよくしゃくれ,耳は立ち,体軀は幅と深さに富んでいて,体積が豊かである。成豚で体重200~250kgになる。日本で1955年ころまでは本種が全飼養品種の90%以上を占めていたが,近年は雑種の利用が盛んになり,発育の早い大型品種の飼育が中心となったため,激減している。
→ブタ
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報