ヨーロッパ南天天文台(読み)よーろっぱなんてんてんもんだい(英語表記)European Southern Observatory

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーロッパ南天天文台」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ南天天文台
よーろっぱなんてんてんもんだい
European Southern Observatory

20世紀前半にパロマー山天文台(アメリカ、カリフォルニア州)などが建設され、北天の観測が進んだのに比べ、手薄だった南天の観測を目ざして1962年に設立されたヨーロッパの国際天文台機構。略称ESO(イーソ)。

 当初5か国で発足したが、2018年時点では欧州15か国(オーストリアベルギーチェコデンマークフィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランドポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス)が参加。本部はミュンヘン郊外のガルヒングにあり、南米チリのアンデス山脈に複数の天文台を設置し、運用している。

 1966年にチリ北部のラシヤ山(標高2400メートル)に天文台を開設し、口径3.6メートルの望遠鏡など10台以上を1980年代までに建設した。その後、さらに北部にあるパラナル山(標高2600メートル)に8.2メートル望遠鏡4台からなる超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)を建設し、1998年から南の宇宙の観測をリードした。

 2013年には、日米欧の国際共同事業としてアタカマ高地(標高5000メートル)に66台の電波望遠鏡からなる電波干渉計ALMA完成し、運用されている。

 ESOは2024年頃の完成を目ざして口径39メートルの超大型望遠鏡ELT(Extremely Large Telescope)の建設を構想している。

[家 正則


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