国際機構ともいう。国際連合は国際組織を政府間国際組織(IGO,intergovernmental organizations)と非政府間国際組織(INGO,international non-governmental organizations)に分類している。前者は政府間協定(条約)によって設立されたものであり,後者は政府間協定によって設立されたものではない,というのが分類基準になっている。今日,国際組織は約1万を数えるが,IGOとINGOの比率は1対10である。国際組織の歴史は三つの時代に区分される。産業革命による交通・通信の便益は国際生活を未曾有の規模で発展させたが,同時に一国の枠内では解決されえない問題を続出させた。かくして,1815年にライン川航行中央委員会という史上最初の政府間国際機構が誕生した。国家政府の間においては万国郵便連合などの国際行政連合が創設され,民間においてもYMCA世界連盟,国際平和ビューロー,列国議会同盟などいろいろの国際団体が結成された。このような現象は〈国際社会の組織化〉と呼ばれる。国際社会の最大課題は戦争防止・平和確保であるが,第1次大戦を経験して初めて国際連盟という政府間の世界平和機構が誕生した。国際連盟と国際労働機関(ILO)の誕生をもって始まった国際組織史の第2期には,公私両面にわたって国際協力の組織化が飛躍的に発展した。公的国際機関と私的国際団体との間の協議,協力も顕著になった。第2次大戦後の国際組織の第3期は〈国際連合機構〉およびユネスコなどの国連専門機関の誕生によって始まったが,世界各国の相互依存の深まりにより今後とも世界的規模,地域的規模の国際組織の増加が見込まれる。国連は世界労連,国際商業会議所など多数の民間団体と公式の協議関係をもち,IGOとINGOとの間には公式,非公式の協力が広範にみられる。政府間国際組織にあっては,事務総長(局長)を頂点とする国際公務員が形成する〈国際官僚制〉が発達しつつある。なお,国際組織を規律する法については〈国際法〉の項を参照されたい。
→NGO
執筆者:中原 喜一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
多数国間条約(基本条約)、そのほかの国際合意によって設立され、国家を構成単位とする組織体であって、これら加盟諸国の共通利益を継続的に達成するため、固有の常設機関(総会、理事会、事務局)と権能をもつもの。国際機構ともいう。厳密には政府間国際組織(IGO)といい、民間の非政府組織(NGO)とは区別される。これら国際組織のうち、すべての国に加盟を開放する普遍的組織としては、国連、専門機関(19)がある。また、一定地域の連帯を進めるため、加盟国の範囲を限定した地域的組織もある(EU、OASなど)。次に目的・任務の面で、平和、安全保障をはじめ経済・社会の分野での国際協力など、包括性をもつ政治的組織(19世紀の欧州協調が起源。国連、EU、OASなど)と、目的が特定の行政分野の国際協力に限られた組織(19世紀の行政連合、専門機関、地域的組織)がある。国際組織はその基本条約の範囲内で固有の意思を設定し(全会一致、多数決、加重投票またはコンセンサスによる決議)、国際法上の権利能力(特権免除、条約締結権、国際責任の当事者適格)と加盟国の国内法上の法律行為能力をもつ。国際組織は、超国家組織(EU)による統合機能を除けば、一般に調整機能(情報交換と行政事務の標準化の促進)、助長機能(加盟国内での条約目的の漸進的達成)、行為規範設定機能(各国の行政事務の基準、立法措置を定める)、職務執行機能(集団的活動の決定、私人に施設・便益・役務を提供するための事業の執行)などを行い、決定または勧告により、加盟国の国内法と国内行政に対し介入し多くの影響を与えている。
[山本草二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また最近は,国際交流の活発化や科学技術の進歩に伴い,個々の機能分野を基準にして,国際労働法,国際通商法,国際刑事法,国際通信法,国際著作権法,国際工業所有権法,国際環境法などの新しい分野が出てきている。さらに,国際法上の個人の地位の向上を反映して,国際人権法および人道法,国際社会の組織化に伴い国際組織法などが存在する。
[存在形態――条約と慣習法]
初期の国際法は,ローマ法,教会法,自然法,人間の理性など,超越法的思考の影響下にあった。…
※「国際組織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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