ラマンレーザー(その他表記)Raman laser

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラマンレーザー」の意味・わかりやすい解説

ラマンレーザー
Raman laser

レーザー光物質に照射し,ラマン効果を利用して波長の違うレーザー光を得るレーザー。ラマン効果を起す物質に振動数 f0 のレーザー光を照射すると,物質固有の振動fr だけずれた振動数 f0±fr の光が出るが,この光ともとのレーザー光とのうなりの光によって物質内の振動が励起され,ラマン光がさらに強くなる (誘導ラマン効果) 。このようなラマン光はやはり単色性がよく,ある方向への指向性もよい。レーザー作用による光であると考えられるが,2準位間の反転分布を利用した通常のレーザーとは原理が異なる。

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化学辞典 第2版 「ラマンレーザー」の解説

ラマンレーザー
ラマンレーザー
Raman laser

誘導ラマン効果を利用することにより,入射レーザー光とは振動数の異なる,単色性がよく指向性の強いコヒーレントなラマン光が大きな強度で得られる.このことを用いてレーザー光の振動数に変調を加えたものをラマンレーザーといい,適当な物質を選ぶことによって±3000 cm-1 程度の範囲で変調できる.第一ストークス光に対する分子遷移は,基底状態からのものであるから,負温度状態をつくり出すことなくレーザー作用を起こせる特徴がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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