ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランジュバン方程式」の意味・わかりやすい解説
ランジュバン方程式
ランジュバンほうていしき
Langevin equation
m(dv/dt)=-γv+F(t)
F(t) は粒子が受ける力から,平均の抵抗力 -γv を除いたもので,揺動力と呼ばれる。この方程式は確率的に変化する力 F(t) によって駆動されるブラウン粒子の速度 v(t) を定める。 F(t) の最も簡単な場合は,〈F(t)〉=0,〈F(t)F(t')〉=2γkTδ(t-t') である。〈 〉は時間平均,kはボルツマン定数,Tは絶対温度,δはδ関数である。また速度 v(t) の確率分布はこの方程式に等価なフォッカー=プランク方程式に従い,十分に長い時間が経過したのちの粒子の変位 xに対しては,アインシュタインの拡散式 〈x2〉=2(kT/γ)t が成り立つ。この方程式は流体中のブラウン運動ばかりでなく,固体中の電子やスピン運動の研究に対しても応用されている。森肇はこの方程式を数学的に厳密に導くことに成功した。
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