投薬や運動など、人体への何らかの介入が与える影響を知りたい場合に、対象者を二つ以上のグループに無作為(ランダム)に分け、その結果を比較して調べる手法。無作為化比較試験、または英語の頭文字をとりRCTともよばれる。評価の偏り(バイアス)を避け、治療効果を客観的に評価できる試験として、科学的根拠に基づく医療(EBM)において質の高い研究手法に位置づけられる。医薬品の第3相試験などおもに医療分野で用いられるが、近年、社会学など他分野にも応用され成果をあげている。
ランダムに試行を繰り返すことで偏りを排した結論にたどり着くという考え方はイギリスの統計学者、ロナルド・フィッシャーRonald A. Fisher(1890―1962)によって1920年代までに示された。初のランダム化比較試験は、1948年にイギリス医師会雑誌(BMJ)に掲載された、抗結核薬ストレプトマイシンの効果に関する試験とされる。
医薬品のランダム化比較試験では医師(観察者)のバイアスを排除するため、対象者(患者)だけでなく医師にも実薬か偽薬か知らせない二重盲検法が一般的である。それが困難な場合は一方にのみ知らせない単盲検法が実施されるが、バイアスの危険性が生じるため、結果の信頼度は劣る。
2019年のノーベル経済学賞は、ランダム化比較試験の手法を用いて、開発途上国に対する効果的な貧困支援策を明らかにしたアメリカの研究者3人が受賞するなど、他分野への応用も進んでいる。
[高野 聡 2023年1月19日]
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