翻訳|placebo
臨床医学において薬物の効力を検定する場合に,対照薬として,またときには暗示的効果を期待して,薬理作用のない物質を用いる。この作用のない物質を偽薬とかプラセボ(プラシーボまたはプラジボ)と呼ぶ。偽薬は,薬効を検討する薬物と外観的な形・大きさ・色をはじめ,味,においなども同じように作られている。一般に,内服薬では乳糖を,注射薬としては生理食塩水を用いる。薬理作用によらない暗示的治癒効果をプラセボ効果(プラシーボ効果)というが,これは偽薬を患者に与えたときの治癒効果である。プラセボ効果は疾患によって違い,精神疾患,リウマチ疾患,各種の痛み,高血圧,消化性疾患ではつよく現れる。また,プラセボ効果がよく現れる人と現れない人がいる。偽薬を用いて薬物の効果を判定する方法として二重盲検法がある。なおplaceboは元来ラテン語のplacere(喜ぶ)の未来形である。偽薬placeboは,外観がまったく同じ〈にせ薬〉であるから,ダミーdummy(替玉)と呼ぶことが提案されている。
執筆者:高柳 一成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「プラシーボ」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これらのうち,現在は二重盲検試験が最も科学的評価に耐えうる試験とされている。 二重盲検試験とは,参加した患者を,層別化し,無作為抽出によって2群に分け,コントローラーが保持した割付表に従って,一群には試験薬(真薬)を,他の群にはまったく有効性をもたない偽薬placeboあるいは標準治療薬activep laceboを与える方法で,患者も管理する医師も,だれに真薬が投与されているかわからない,ということから二重盲検法と命名された。現在,医薬品の製造承認書に必要な資料として,5ヵ所以上,150例以上,1主要効能あたり,1ヵ所20例以上の臨床例が必要とされている。…
…これらのうち,現在は二重盲検試験が最も科学的評価に耐えうる試験とされている。 二重盲検試験とは,参加した患者を,層別化し,無作為抽出によって2群に分け,コントローラーが保持した割付表に従って,一群には試験薬(真薬)を,他の群にはまったく有効性をもたない偽薬placeboあるいは標準治療薬activep laceboを与える方法で,患者も管理する医師も,だれに真薬が投与されているかわからない,ということから二重盲検法と命名された。現在,医薬品の製造承認書に必要な資料として,5ヵ所以上,150例以上,1主要効能あたり,1ヵ所20例以上の臨床例が必要とされている。…
※「偽薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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