リンコマイシン

デジタル大辞泉 「リンコマイシン」の意味・読み・例文・類語

リンコマイシン(lincomycin)

抗菌性抗生物質の一。グラム陽性菌、特に嫌気性細菌によく効く。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「リンコマイシン」の解説

リンコマイシン
リンコマイシン
lincomycin

C18H34N2O6S(406.54).Streptomyces lincolnensisの産生する抗生物質.培養液から pH 10でn-ブタノールにより抽出される.不定形の白色粉末.+158°(水).pKa 7.5.水に微溶,アルコール類,酢酸エチルアセトンクロロホルムに可溶.塩酸塩のC18H35ClN2O6S・0.5H2O(452.01)はより安定な白色の斜方晶系.融点146~148 ℃.+137°(水).水,アルコール類に可溶,炭化水素以外の有機溶媒に易溶.1水和塩(融点156~158 ℃,+143°(水))も知られている.抗菌スペクトルマクロライド抗生物質に近似しており,グラム陽性菌,グラム陰性球菌,とくに根粒菌Bacteroidesなどの嫌気性菌に有効である.作用機作はタンパク質合成阻害で,細菌リボソームの50 Sサブユニットに結合して,ペプチド転移反応を阻害する.副作用として肝障害がある.LD50 4000 mg/kg(ラット経口).1000 mg/kg(マウス,腹腔).[CAS 859-18-7:塩酸塩0.5水和物][CAS 7179-49-9:1水和物]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンコマイシン」の意味・わかりやすい解説

リンコマイシン
lincomycin

C18H34N2O6S 。 1963年にアメリカ放線菌の一種 Streptomyces lincolnensisの培養ろ液から発見されたマクロライド系抗生物質。グラム陽性菌 (ブドウ球菌レンサ球菌肺炎球菌髄膜炎菌など) ならびに一部の陰性菌に有効。

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世界大百科事典(旧版)内のリンコマイシンの言及

【抗生物質】より

…グラム陽性菌に有効で,主として外用で用いる),フシジン酸(ステロイド構造。グラム陰性菌に有効で,内服,外用する),ホスホマイシン(グラム陽性菌および陰性菌に広い抗菌スペクトルをもち,内服あるいは注射で用いる),ノボビオシン(ブドウ球菌などのグラム陽性菌および一部のグラム陰性菌に有効で,内服,注射),リンコマイシン(グラム陽性菌に作用し,内服,注射)などがある。
[抗真菌(抗カビ)抗生物質]
 人体のカビ疾患は,カンジダ菌の肺,肝臓などの感染による重篤な症状や,白癬(はくせん)菌による水虫などの皮膚疾患が知られており,とくにこれらの菌に対する有効物質が求められている。…

※「リンコマイシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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