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放線菌 ホウセンキン

百科事典マイペディアの解説

放線菌【ほうせんきん】

菌糸をつくる一群のグラム陽性菌の総称。菌糸は幅1μm以下で,断裂して杆(かん)菌,球菌状となる。一般に結核菌癩菌を含むが,アクチノミコーゼ(放線菌症)といった場合はActinomyces,Nocardia属の菌によるものをさし,人や家畜の傷口,消化管などから侵入して慢性炎症を起こす。
→関連項目ウイルスオキシテトラサイクリンカナマイシンクロラムフェニコールクロルテトラサイクリン根粒菌細菌サイクロセリン水素菌ストレプトマイシンそうか(瘡痂)病テトラサイクリン土壌細菌ビアラホス日和見感染症ブレオマイシンマイトマイシン

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうせんきん【放線菌 Actinomycetes】

放線菌目に属する細菌の総称。菌体は多少分枝した幅1.5μmの菌糸状で,ときに球菌状,杆菌状に分断して,そこからまた菌糸をのばす。グラム陽性。増殖は上記のような分裂のほか,分生子や胞子形成などでも行われる。このため,真菌植物との中間に位置すると考えられるが,原核細胞であることや,細菌鞭毛をもち,細胞壁の構造もグラム陽性菌に似ることなどから,細菌に分類されている。マイコバクテリウム科,アクチノミセス科,ストレプトミセス科など5科8属がある。

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大辞林 第三版の解説

ほうせんきん【放線菌】

カビ様の微生物で、糸状の菌糸が放射状に伸びる細菌。土壌中、その他自然界に広く分布する。病原性を示すものもあるが、抗生物質(ストレプトマイシンなど)を産出するストレプトマイセス属のように有用なものがある。放射菌。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

放線菌
ほうせんきん
actinomycetes

分岐した菌糸状細胞や菌糸をつくる細菌群をいい、放線菌類ともよぶ。放線菌は原核性細菌で、菌糸細胞の幅は1マイクロメートル以下、グラム陽性である。分類学的には放線菌目Actinomycetalesとその類縁生物群をさす。放線菌目は次の8科に分類される(括弧(かっこ)内は代表属)。(1)アクチノミセス科Actinomycetaceae(アクチノミセス属)、(2)ミコバクテリウム科Mycobacteriaceae(ミコバクテリウム属)、(3)フランキア科Frankiaceae(フランキア属)、(4)アクチノプラネス科Actinoplanaceae(アクチノプラネス属)、(5)デルマトフィルス科Dermatophilaceae(デルマトフィルス属)、(6)ノカルジア科Nocardiaceae(ノカルジア属)、(7)ストレプトミセス科Streptomycetaceae(ストレプトミセス属)、(8)ミクロモノスポラ科Micromonosporaceae(ミクロモノスポラ属)。このほか、放線菌には、類縁菌としてコリネ型バクテリアとプロピオン(酸)菌科Propionibacteriaceaeが含まれる。しかし、放線菌を狭義に扱う場合には放線菌目からミコバクテリウム科を除くこともあるし、単にアクチノミセス属だけ、あるいはストレプトミセス属だけを放線菌とする場合もある。[曽根田正己]

放線菌の性状

放線菌目の細菌をみると、一般に土壌菌が多いが、なかには動物や植物に寄生するものもある。また、糸状性の真核生物(カビや酵母)と類似する部分もあるが、明瞭(めいりょう)な核構造をもたないし、原核性生物特有の細胞微細構造、細胞壁成分を示す。広義の放線菌に含まれる細菌の性状をみると、菌糸の形成能をもつものともたないもの、好気性のものと嫌気性のもの、共生(植物との共生)、腐生、条件的寄生のタイプがあるなど、きわめて多様性がある。また、胞子嚢(のう)を形成するものとしないもの、菌糸の分断によってできる細胞が運動するものとしないもの、気中菌糸をつくるものとつくらないもの、分生胞子(分生子)が長く連なってできるものとできないものなどの差違も認められる。
 放線菌のうち、とくに著名なものとして次のようなものがある。(1)アクチノミセス属Actinomyces 通性嫌気性菌で、放線菌症(口腔(こうくう)や回盲(かいもう)部に発症)の原因菌となる。(2)結核菌Mycobacterium tuberculosis 抗酸性菌で、結核症の原因菌となる。(3)らい菌M. leprae 絶対寄生菌で、ハンセン病の原因菌である。(4)フランキア属Frankia 非マメ科植物の根粒菌で、空中窒素を固定する。(5)ノカルジア・アステロイデスNocardia asteroides ヒトの病原菌で、結核様肺感染、皮膚潰瘍(かいよう)、菌血症をおこす。これにかかると治癒しにくい。(6)ストレプトミセス属Streptomyces 自然界、とくに土壌中に広く分布する菌で、さまざまな酵素、抗生物質の生産を行う。形態はカビに似て気中菌糸が発達し、その先端に分節胞子が連鎖的に形成される。ストレプトミセス・グリセウスS. griseusはストレプトマイシンを、ストレプトミセス・オーレオファシエンスS. aureofaciensはテトラサイクリンなどの抗生物質を生産する有用菌である。[曽根田正己]

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世界大百科事典内の放線菌の言及

【抗生物質】より

…65年ころから,微生物の生育は阻害せず動物の特定の酵素を阻害する物質(酵素阻害剤)の探索が梅沢浜夫らによって開拓され,新しい薬理作用を示す医薬品を微生物生産物から得る道が開かれた。
【抗生物質を生産する微生物】
 抗生物質を生産するカビ,放線菌,細菌などは,ほとんど土壌から分離されている。世界中いたるところの土壌が採取され,高地あるいは海洋など人間が近づきがたい場所からも土が拾われ,菌が分離されている。…

【土壌微生物】より

…土壌中に存在する微生物で,細菌,放線菌,糸状菌,藻類,原生動物などをいう。肥沃な表土には,土壌1g当り細菌数が数十億,糸状菌の菌糸長が数百m,微生物の生体重が土壌有機物量の数%に達することがある。…

※「放線菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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