普及版 字通 の解説
15画
[字訓] はげしい・はげむ・わるい・といし
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
厂(かん)+(万)。〔説文〕九下に「旱石なり」とあり、柔石に対して剛石、すなわち砥石の意とするが、その字は(れい)。また「(たい)の省聲」とするが、声も合わない。はさそりのような虫の形、厂は岩下など秘密のところ。そのような窟室で、この虫を蠱霊(これい)とし呪儀を行うことを原義とするものであろう。そこで厳・悪の義を生じ、その呪詛によって生ずるものを(れい)という。にまた禁・遮列(しやれつ)の意があり、に列の声義がある。列は断首を列して遮列とすることをいう。〔周礼、地官、山虞〕「物、之れが(れつ)を爲す」、〔秋官、司隷〕「王宮と野舍との禁(れつきん)を守る」はみな遮列の意。〔詩、大雅、公劉〕「を取り鍛(たん)を取る」は旱石を求める意で、そのはである。
[訓義]
1. はげしい、はげむ、つよい、きびしい、はやい。
2. わるい、まがごと、なやます、悪気、鬼邪。
3. といし、とぐ、みがく、すりへらす、こする。
4. 水をかち渉る。
5. 大帯、大帯を垂れる。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕 阿止夜万比(あしきやまひ) 〔名義抄〕 アヤフシ・アヤシ・アシ・イタル・ハゲシ・アグ・アガル・ヤム・ツク・クルフ・トシ・タケシ・オソロシ・ワザハヒ 〔字鏡〕 ムナシ・ハゲマス・トシ・ツクル・イタル・ツク・クツル・ホル・ワタル・ハゲシ・アグ・ハゲム・ハシル・カタシ・ムサシ
[声系]
(励)は〔説文〕にその字なく、は〔新附〕に収める。また、(れい)は〔説文〕にに従う字に作る。
[語系]
・liatは同声。は呪儀、その呪儀によってもたらされるものをという。はまた癩(らい)ともいう。水を渉るをというのは、liatの字義で同声。また帯の意に用いるのは、帶(帯)tatと声近くして通用の義である。
[熟語]
人▶・意▶・威▶・疫▶・音▶・階▶・▶・気▶・鬼▶・虐▶・剣▶・行▶・殺▶・矢▶・志▶・疾▶・粛▶・祥▶・飾▶・心▶・神▶・祟▶・世▶・声▶・清▶・精▶・誠▶・石▶・節▶・然▶・荘▶・爽▶・俗▶・濁▶・毒▶・撫▶・風▶・服▶・兵▶・妖▶・翼▶・▶・禁▶
[下接語]
炎・温・苛・虐・凶・矯・驕・駆・勁・激・狷・厳・高・剛・災・惨・疵・・疾・遮・醜・峻・猖・奨・・振・祟・清・精・整・切・壮・操・大・・敦・風・憤・奮・勉・暴・猛・夭・揚・凌
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報