新古典派経済学に代わって、より現実的・包括的な理論的枠組みを提供するために、1970年代以降、フランスのミシェル・アグリエッタやロベール・ボワイエらを中心に展開されてきた新しい経済理論。新古典派経済学の成長理論では、ある特定の時期やある特定の国の経済成長の格差を説明するのは、労働人口の成長率や技術進歩の成長率のみであり、そこに各時代固有の、あるいは各国固有の経済体制や社会制度が入りこむ余地はない、と考える。しかしレギュラシオン理論では、賃労働関係や競争形態、貨幣制約や国家形態、国際体制などといった制度・構造の諸形態と、それらの制度相互の結び付きなどが、ある特定の時代や特定の国の資本主義の調整様式(mode de r(e)gulation)を生み出し、さらにそれらの調整様式こそが経済成長や蓄積の体制を決定する、と考える。