レギュラシオン理論(読み)レギュラシオンリロン(その他表記)La Th(e)orie de la R(e)gulation(仏)

関連語 資本主義経済

知恵蔵 「レギュラシオン理論」の解説

レギュラシオン理論

新古典派経済学に代わって、より現実的・包括的な理論的枠組みを提供するために、1970年代以降、フランスのミシェル・アグリエッタやロベール・ボワイエらを中心に展開されてきた新しい経済理論。新古典派経済学の成長理論では、ある特定の時期やある特定の国の経済成長の格差を説明するのは、労働人口の成長率や技術進歩の成長率のみであり、そこに各時代固有の、あるいは各国固有の経済体制や社会制度が入りこむ余地はない、と考える。しかしレギュラシオン理論では、賃労働関係や競争形態、貨幣制約や国家形態、国際体制などといった制度・構造の諸形態と、それらの制度相互の結び付きなどが、ある特定の時代や特定の国の資本主義の調整様式(mode de r(e)gulation)を生み出し、さらにそれらの調整様式こそが経済成長や蓄積の体制を決定する、と考える。

(荒川章義 九州大学助教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レギュラシオン理論」の意味・わかりやすい解説

レギュラシオン理論
レギュラシオンりろん
la théorie de la régulation; theory of regulation

1970年代にフランスで生れた新しいラディカル経済学の一派で,M.アグリエッタ,R.ボワイエを中心とする学派マルクス主義新リカード学派からの影響を強く受けている。主なテーマとして,スタグフレーションから生じた 70年代以降の経済変動を解明するため,「再生産」可能な経済構造という観点から外的ショックに対して経済構造,利益集団階級といった経済の枠組みがどのように変化・行動し,調整 (レギュラシオン) されていくかを歴史的,構造的に解明しようとする。 70年代を停滞の時代としてとらえ,フォード主義的蓄積体制の行き詰まりをその一つの要因と考える。

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