レコードプレーヤー(英語表記)record player

翻訳|record player

デジタル大辞泉 「レコードプレーヤー」の意味・読み・例文・類語

レコード‐プレーヤー(record player)

レコードに録音された音を再生する装置。ターンテーブル・モーター・ピックアップなどからなる。プレーヤーレコードデッキ

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精選版 日本国語大辞典 「レコードプレーヤー」の意味・読み・例文・類語

レコード‐プレーヤー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] record player ) レコードに録音されている信号を再生する装置。モーター、ターンテーブル、カートリッジトーンアームなどからなる。プレーヤー。
    1. [初出の実例]「ラジオと兼用のレコードプレーヤーの脇の机から」(出典:近くて遠きは(1956‐57)〈飯沢匡〉上を下への)

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改訂新版 世界大百科事典 「レコードプレーヤー」の意味・わかりやすい解説

レコードプレーヤー
record player

レコードの溝に刻まれた音を針先の機械的な振動として拾い出し,これを電気的な信号に変換して増幅器に送るための装置。円盤再生機ということもある。レコードとは広い意味では〈記録されたもの〉であり,円盤に溝を切って機械的に記録したディスクレコードと,テープに磁気的に記録したテープレコードに分けられるが,日常的には前者を単にレコードと呼ぶことが多い。またプレーヤーは記録(録音)の機能をもたない再生(演奏)専用の装置で,電気信号を出力として増幅器へ接続して使用され,これ自体は増幅器やスピーカーを含まないのが一般的である。現在のレコードプレーヤーは,SPレコード時代のいわゆる〈蓄音機〉にその原型をみることができる。

エジソンによる円筒式の蓄音機の発明から10年後の1887年に,E.バーリナーグラモフォンと称する円盤式の蓄音機を発明し,今日のディスクレコードの歴史が始まった。エジソンやバーリナーの蓄音機は録音・再生機で,文字どおり音を蓄える機械であったが,1940年代末までのSPレコードの再生装置が広く蓄音機という呼名で親しまれた。蓄音機は基本的にはレコードをのせて回転するターンテーブルと,これに回転力を与えるぜんまい式の駆動部,サウンド・ボックスおよびホーンからなっている。サウンド・ボックスはレコードの溝から針(再生針)によって機械的振動を拾い,振動板に伝えて空気振動(音波)に変換する部分で,この空気振動はさらにホーン(ラッパ形の音響管)に伝えられて音として放射される。再生針としては鉄製あるいは竹製のものが多く用いられ,またホーンは,初期のものは金属製の朝顔形が主流であったが,やがて木製が多くなり,形態も今日のスピーカーのように箱の中に納められるようになった。SPレコードの回転数は毎分78回転で,片面の録音時間も5分程度であったが,ターンテーブルの駆動もぜんまいによる機械式のため持続時間が短く,ほとんどレコード片面ごとにぜんまいを巻き直す必要があった。このようにすべて機械式の装置に電気の力が応用されはじめたのは,1924年に初の電気式レコード録音が行われて以降のことである。48年のLPの誕生にかけて,ピックアップ,真空管による増幅器,スピーカーを用いた電気蓄音機(いわゆる〈電蓄〉)の時代にしだいに移っていくが,その間にはターンテーブルはモーターによる電動で,再生は機械式の蓄音機も現れた。蓄音機は音の出口まで含めた再生装置全体であり,今日でいえばステレオ・セット(あるいは単にステレオ)に当たっている。

レコードプレーヤーの基本的な構成はフォノモーター,ピックアップカートリッジ,トーンアームおよびこれらを収容するキャビネットからなっている。フォノモーターはさらにターンテーブル,駆動用モーター,回転伝達機構に分けられ,フォノモーター全体のことを単にターンテーブルと呼ぶこともある。またピックアップカートリッジとトーンアームの両者を合わせて,単にピックアップと呼ぶことがある。

レコードをのせて回転する円盤台であり,30cmLPレコードと同程度の直径のものが多いが,簡易形のプレーヤーでは17cmEPレコードくらいの小型のものもある。ターンテーブルで重要なことは,一定の回転数(現在ではほとんどが毎分331/3回転あるいは毎分45回転)で滑らかに回転し,振動の少ないことである。回転数の変動(回転むら)は音程の変動や音のにごりの原因となり,またターンテーブルの振動はカートリッジに伝えられて雑音の原因となる。このためターンテーブルの慣性モーメント(回転運動に対する慣性を示す量)が,駆動するモーターのトルク(回転力)とのかねあいで適当な量となるように,その重量や断面の形状などが選ばれる。また機械的な精度が高いことも必要で,材質としてはアルミダイカストが使用されることが多い。普及形には鉄板が用いられることもあるが,電磁形カートリッジを引きつけて針圧(針先がレコード溝を押さえる力)を増加させたり,モーターからのハム(誘導雑音)を拾う場合があるなどの理由で高級形には用いられない。ターンテーブルの振動対策としては,ターンテーブル上(レコードとの間)にゴムシートを置くことが多い。これはレコードのターンテーブル上での滑りを防止するほか,ターンテーブルの振動をカートリッジに伝えにくくする働きがある。ターンテーブルの回転数の規定回転数からの許容偏差は一般に±0.2%以下であるが,±0.1%以下が目標とされている。また回転むら(ワウフラッター)についても0.1%以下が望ましいとされるが,現在の大半の製品はこれらの値よりかなり低いのがふつうである。なお回転数の監視には,蛍光灯やネオン管の光で縞模様の静止状態を見るストロボスコープが使われる。

ターンテーブルを駆動するモーターとしては,回転が滑らかで回転数の変化や振動の少ないこと,また磁束の漏れの少ないことが重要である。使用電源の種類によって交流モーターと直流モーターに分けられるが,交流モーターは商用電源を使用できる反面,回転数が電源周波数の変動に従って変動する欠点がある(一般にはほとんど支障にはならない)。交流モーターでプレーヤーに用いられているものとしては,インダクションモーター,ヒステリシスシンクロナスモーター,アウトローターモーターなどがある。また直流モーターは回転数が電源周波数の影響を受けないが,直流電源と速度制御機構を必要とすることなどが短所となる。

モーターの軸の回転をターンテーブルに伝達するとともに,必要な回転数に変速するための機構部分をさしている。この機構にはアイドラードライブ,ベルトドライブおよびダイレクトドライブの各種がある。このうちアイドラードライブはリムドライブとも呼ばれ,ターンテーブルの内周とモーターの回転軸に取り付けたキャプスタンの間にゴム製円板(アイドラー)をはさみ,摩擦力で回転を伝達する。これはモーターの振動がアイドラーを通してターンテーブルに伝わりやすいのが欠点である。ベルトドライブはモーターの回転軸に取り付けたキャプスタンとターンテーブルの外周,または内側に設けられた専用のプーリーをベルトで連結して回転を伝達する方式で,モーターの振動がベルトで遮断されてターンテーブルに伝わりにくい利点がある。そのほか,アイドラードライブやベルトドライブを2段にしたり,両者を組み合わせた機構も用いられている。ダイレクトドライブ(DD)方式は,1960年代末に出現して以来,高級プレーヤーの主流となった方式で,モーターの回転軸をターンテーブルに直結し,モーターを電子回路制御によってレコードの回転数という非常な低速度できわめて安定に回転させるもので,振動の少ない非常に優れた性能が得られる。駆動モーターには交流モーターと直流モーターの2種類がある。

レコードの溝から機械振動として音の信号を取り出し,これを電気信号に変換する変換器をピックアップカートリッジといい,カートリッジと略称することが多い。カートリッジは音溝から振動を拾う再生針,この振動を発電機構に伝えるカンチレバーおよび発電機構からなり,ステレオ用とモノフォニック用(一般にモノラル用といわれる場合が多い)がある。ステレオ用は針先を含めた振動部分がレコード面に対して上下左右に振動でき,ステレオレコードのV字形音溝の両側壁に刻まれた左右信号に対して独立した発電機能がある。一方,モノフォニック用の発電機能は左右(水平)方向の振動に対してのみで,単一の信号が出力される。大半のレコードがステレオとなった現在,モノフォニック用はきわめて少ない。カートリッジの出力電圧は次に述べる発電方式で異なるが,一般に数mV程度で,アンプのプリアンプ部(前置増幅器)で増幅される。この際,低域上昇,高域下降の周波数特性のイコライザー(周波数等化)回路を通されるが,これは高域での雑音の影響を低減するためにあらかじめ低域下降,高域上昇の特性で録音された音をもとの特性にもどすものである。この再生特性は現在はRIAA(アメリカレコード工業会)再生カーブに統一されている。

 カートリッジを発電方式で大別すると,電磁形,圧電形,コンデンサー形,光電形などになる。電磁形は磁石とコイルの電磁誘導によって発電するタイプの総称で,コイルを固定して磁石を針先の振動で動かすムービングマグネット形(略称MM形),逆に磁石を固定してコイルを動かすムービングコイル形(略称MC形)の2種がとくによく用いられる。MC形はMM形に比べて出力電圧が1/10以下と低く,プリアンプに接続する前にヘッドアンプと呼ばれる低雑音増幅器,もしくは昇圧トランス(変圧器)で増幅する必要がある。圧電形は結晶体の圧電効果を利用し,針先の振動による圧力によって電圧を発生するもので,ロッシェル塩を用いたクリスタル形,チタン酸バリウムなどを用いたセラミック形が代表的である。出力電圧が高くて安価であり,周波数特性がRIAA再生カーブを必要としないなどの点から普及形プレーヤーによく用いられる。コンデンサー形は針先の振動でコンデンサーの容量を変化させて電気信号を得る方式であり,光電形は,光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子に入射する光量を,針先の振動で変化させて電気信号を得る方式であるが,これらの方式は構造が複雑で,専用のアンプを必要とすることなどからあまり普及していない。

 カートリッジの再生針にはダイヤモンドやサファイアなどの硬い材質が用いられる。ダイヤモンド針にはブロック形ダイヤモンド針と接合形ダイヤモンド針があり,ブロック形はダイヤモンドの角材を素材とした高級用で,寿命は針圧2gで1500時間程度である。また接合形はダイヤモンドの小片を金属棒の先に接着・加工した普及用で,寿命も針圧2gで1200時間程度までである。一方,サファイア針は安価なプレーヤーに用いられるが摩耗しやすく,ダイヤモンド針の寿命の数十分の1にとどまる。

トーンアームはカートリッジの針先が音溝を正しくトレースする(たどる)ように,カートリッジをレコード盤で移動させ,また適正な針圧(針先が音溝に加える圧力)を与えるための機構である。アームと略称することもある。カートリッジの移動軌跡がトーンアームの支点を中心とする円弧となるものをオフセットトーンアームといい,一般に広く使われている。またカートリッジがレコードの半径方向に直線的に移動するような特別の機構としたものをリニアトラッキングアームという。これはレコード録音で音溝を刻む針の移動する軌跡に合わせることでエラーを少なくし,音のひずみを減少しようとするもので,構造的に複雑になる。

 またトーンアームは針圧の加え方によってスタチックバランス形とダイナミックバランス形に分けられる。前者は支点の前後のバランスをカートリッジとカウンターウェイト(おもり)でとった後に,後部のカウンターウェイトを移動させてバランスをくずし,これで針圧を加えるもので,現在大部分がこの方式である。後者はカウンターウェイトの移動でなく,スプリングを利用して針圧を加えるもので,現在はあまり用いられていない。

 トーンアームにカートリッジを取り付けるものをヘッドシェル(単にシェルともいう)と呼び,一般に軽金属製が多い。ヘッドシェルごと交換できるコネクター付きのものと,アームに固定のものがある。カートリッジの信号はトーンアーム内部から支点部分を通してある信号コードによって外部に導かれる。

キャビネットはターンテーブルやトーンアームをのせるボードとこれを支える外箱,上蓋(アクリル製が多い)からなる。これらはモーターの振動や外部からの振動がカートリッジに伝わらないように構造をくふうしたり重量のある材質を選んだりするほか,底部に防振ゴムを設置することも多い。またレコードの再生中にスピーカーの振動がカートリッジの針先に伝わったり,再生中の音波が直接針先を振動させたりして再びアンプに入り,ハウリング(音響的な発振現象)を起こすことも多いので,プレーヤーをスピーカーから離したり,厚手の上蓋でスピーカーからの音波を遮断するなどの対策が必要である。

レコードをプレーヤーにセットして再生するための一連の操作は,一部の愛好家以外の人にはめんどうに感じられるもので,一部または全部を自動的に行えるようなくふうがなされた製品がある。数枚のレコードを重ねてセットし,順にターンテーブル上に落として片面ずつ再生するオートチェンジャーはSPレコード時代からあるが,レコードを貴重品扱いする傾向の強い日本ではあまり使用されていない。またトーンアームの上昇・下降,さらにレコード盤上への移動,復帰を自動的に行ったり,ターンテーブルの起動・停止を含めてすべて自動化したものなどもある。トーンアームの上昇・下降は,手で行った場合に誤ってレコードを傷つけるおそれのあることから,アームリフターと称する昇降装置が愛好家の間で使われることが多い。そのほか機械的,電子的制御技術の発達した現在では,レコード面を垂直にして再生するプレーヤーや,自動的に両面を再生する製品なども出されている。
オーディオ →ディジタルオーディオ →レコード
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百科事典マイペディア 「レコードプレーヤー」の意味・わかりやすい解説

レコードプレーヤー

電気蓄音機のレコード演奏装置。レコードをのせるターンテーブル,これを回転させるモーター,音声振動を電気振動に変えるピックアップ,これを支えるトーンアーム等からなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レコードプレーヤー」の意味・わかりやすい解説

レコードプレーヤー
れこーどぷれーやー

ステレオ再生装置

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