ディジタルオーディオ(読み)でぃじたるおーでぃお

改訂新版 世界大百科事典 「ディジタルオーディオ」の意味・わかりやすい解説

ディジタルオーディオ

ディジタル技術やディジタル機器を用いたオーディオという意味。一般には,ディジタルオーディオディスクdigital audio disc(DADと略する。コンパクトディスクCD,ミニディスクMDもDADの一種)およびその再生システム,PCM録音機,ミニディスクなどの録音再生可能なディスク,およびそれらを利用する技術,さらにその再生音を聴くことなどをいう。

 ディジタルオーディオディスクは,ディジタル技術を導入した新しいディスク(円盤)で,再生される音の品質もよく従来のレコードに代わるものと期待されている。1970年代の開発の段階では,DADには,コンパクトディスク方式(CD方式),オーディオハイデンシティディスク方式(AHD方式),ミニディスク方式(MD方式)の3方式があった。約20Hzから2万Hzに及ぶ広い帯域の信号がPCM(パルス符号変調)化されてディスクに記録される。記録,再生の方式については種々の提案がなされたが,1978年9月に設置されたDAD懇談会により,表に示す3方式に集約された。三つの方式のいずれを採用するかの選択は,メーカー各社の自由裁量にゆだねられている。

 コンパクトディスク方式は透明なポリカーボネートで作られた円盤(ディスク)の片面に,バンプあるいはピットと呼ばれる突起(高さは0.11μm)の有無および長短という形で,PCM化された音響信号が記録されている。信号の再生は光学ピックアップによって行われ,まずレーザーダイオードによってレーザー光がコンパクトディスクに裏面(下側)から照射される。ビームスポットの大きさはバンプより少し大きくしてあり,バンプがあるところでは,バンプからの反射光とバンプ以外の部分からの反射光がうまく相殺されて全体の反射光の量が著しく少なくなるようにバンプの高さを0.11μmに選んである。バンプがないところでは反射光は相殺されることもなく,一定の光量となる(図)。レーザーダイオードによって照射された光と反射光とは,偏光ビームスプリッターによって分光される。反射光の量の変化はフォトダイオードによって電気信号に変換され,さらにPCM信号から音響信号が復元される。このほかに,レーザー光の焦点を良好に保つためのフォーカスサーボ,またバンプを良好にトレースさせるためのトラッキングサーボ,光ピックアップとディスクとの相対速度を一定に保つためのCLV(constant linear velocityの略)サーボ,符号誤り訂正方式など多くの技術が結集されている。

 AHD方式は,導電性のPVCポリ塩化ビニル)盤(直径26cm)の両面に,ピットの有無という形でPCM化された音響信号が記録される。信号の再生は,電極をもつピックアップによって行われる。ピットのある部分では静電容量は少なく,ピットがない部分では静電容量は多くなる。この容量の変化を発振周波数の変化にかえてPCM化された信号とし,さらにこれを復調して音響信号を復元する。このAHD方式は,VHD方式ビデオディスクとプレーヤーが共通,および静止画プラス音声3チャンネル再生可能という特徴がある。

 MD方式は,PVC盤に,従来のレコード盤のように音溝を作り,溝の垂直方向の深さの変化(変化量は0.1μm程度)として,PCM化された音響信号が記録される。これを針によってピックアップし,圧電素子によって電気信号に変換する。

 PCM録音機は音響信号をPCM化して,テープに記録・再生する装置で,1969年にNHKで最初に開発された。ビデオテープレコーダーを利用する回転ヘッド方式と固定ヘッド方式がある。
オーディオ →ビデオディスク
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディジタルオーディオ」の意味・わかりやすい解説

ディジタルオーディオ
でぃじたるおーでぃお

デジタルオーディオ

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