レトキ(その他表記)Theodore Roethke

改訂新版 世界大百科事典 「レトキ」の意味・わかりやすい解説

レトキ
Theodore Roethke
生没年:1908-63

アメリカの詩人。中西部ミシガン州の出身。ドイツ系の移民の子として生まれ,父親が経営していた花の栽培園で過ごした少年時代は彼に決定的な影響を与えた。第1詩集《オープン・ハウス》(1941)でも,すでに植物とともに生活する人たちを扱った作品が含まれている。第2詩集《迷える息子》(1948)では,自己を喪失して精神的危機を味わった主人公が,父親との温室でのさまざまな体験の記憶を通じて,しだいに自己を回復する過程が,新鮮な口語調の自由詩で書かれており,第2次大戦後の形式化したアメリカ詩に生命を吹きこんだ。1936年以来ペンシルベニア州立大学をはじめ,ベニントン・カレッジ,ワシントン州立大学などで英文学を教えるかたわら旺盛な詩作活動を続け,《目ざめ》(1953)ではピュリッツァー詩賞を,《はるかな野》(1964)では全米図書賞を受けている。《全詩集》(1966)があり,自然に深く根ざしたロマン派詩人として評価が高い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レトキ」の意味・わかりやすい解説

レトキ
れとき
Theodore Roethke
(1908―1963)

アメリカの詩人。ミシガン州のドイツ系移民の家に生まれる。ハーバード大学を終えたのち、各地の大学で教えながら詩作したが、詩人としての名声は、詩風のために比較的遅く訪れた。処女詩集『オープン・ハウス』(1941)は、幼時を過ごした生家の温室を中心とする体験に基づいて、植物の成長と枯死のイメージを、鮮烈に短い叙情詩型に託したもの。『迷える息子』(1948)は、少年から大人へと成長する詩人の精神的苦悩と自己確立の問題を自伝風にたどり、「告白詩」の先駆的作品となっている。晩年、幻視的な一面を表しているところは、W・B・イェーツを思わせる。

[徳永暢三]

『石田安弘訳『セオドー・レトキ詩集』(1969・思潮社)』

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