改訂新版 世界大百科事典 「ロアサ」の意味・わかりやすい解説
ロアサ
Loasa
ロアサ科の一年草あるいは多年草,ときには木本性の植物で,植物体にはイラクサのような刺毛があり,ふれると刺激的な痛みがある。大型で変わった花を咲かせるので,観賞用に栽培される種があるが,日本では一般的でない。シロバナシレンゲL.vulcanica Andréはエクアドルからコロンビアの山地原産で,高さ50~90cmほどの直立する半木質の一年草。互生する葉は有柄で,葉身は掌状に5~3裂し,小葉はするどく深い重鋸歯がある。やや下垂する花はまばらな総状花序につき,細く長い花梗がある。花は直径が3~4cmもあり,花弁は5枚,ボート形で白色,弁間基部にはほろ状の発達した鱗片があり,濃い黄色で赤色の横斑があって,美しい。多数のおしべは束になり,花弁に対生する。日本では春まき一年草として扱われ,鉢植えあるいは花壇の植込みに使われるが,刺毛に注意しなければならない。
ロアサ属Loasaはメキシコから南米パタゴニアにいたる地域のやや乾燥した場所に分布し,100種ほどが知られ,草本,低木,少数種はつる性となる。花が美しいので,多数の原種がヨーロッパに導入されているが,園芸植物としてはそれほど流行はしていない。この属で代表されているロアサ科Loasaceaeは15属250種ほどの小さな科で,そのほとんどはアメリカ大陸アンデス山系に分布し,1種だけが南アフリカとアラビア半島にある。シュウカイドウ科に近縁とされている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報