ロシア下院選挙(読み)ろしあかいんせんきょ

知恵蔵 「ロシア下院選挙」の解説

ロシア下院選挙

2007年12月2日にロシアで下院選挙が実施された。公表された投票率は63.78%で、中央選挙管理委員会が発表した各政党の得票率および獲得議席数は以下の通りである。与党の統一ロシア64.30% 315議席、ロシア連邦共産党11.57% 57議席、民族右派のロシア自由民主党8.14% 40議席、与党左派の公正なロシア7.74% 38議席である。なお、中道派のヤブロコは1.59%、民主派の右派勢力同盟は0.96%で、議席を得ることはできなかった。前回の下院選挙(2003年)の後、選挙法が改定されて議席の半数を占めていた小選挙区制が廃止され、政党比例代表制のみとなった。また、議席を得るためには各政党は最低7%の得票率が必要となった(従来は5%)。これにより野党は、共産党以外は議席を獲得できなかった。与党の統一ロシアは、単独で3分の2を確保して、他の与党あるいは事実上の与党と合わせると393議席となり、全450議席の87%に達する。この下院選挙ではプーチン大統領が統一ロシアの名簿筆頭に挙げられたために、これは大統領選挙後もプーチンが影響力を有するための「信任投票」であるともいわれた。結果があらかじめ分かっている選挙にもかかわらず、当局は総動員態勢で臨んだ。その理由は、プーチンが大統領のポストを去っても影響力を保持してそれまでの権力・利権構造を維持するためには、高い投票率、得票率が必要だったからである。選挙の公正さに関しては、当局の圧力、マスコミ操作、その他の不正があったとしてロシアの内外から批判が上がった。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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